愛しい君は、生き霊になっても俺を離さない。

 全部黒のパズル、というのは文字通り全てのピースが真っ黒で、絵柄も何もないパズルのことだ。去年の俺の誕生日に、同級生の佐藤が面白半分でくれたもの。
 ピースを広げると、細かい黒がテーブル一面に散らばる。形だけを頼りに合わせていくしかなく、見ているだけで目の奥が痛くなる。

「見てないで、燈も手伝ってよ」
「……つったって、これ、どうやって進めんだよ」
「端から。形で絞って、1個1個試す」
「効率悪いな」
「でも確実だよ」

 渚の横顔は真剣だ。細い指がするすると動き、ピースをひっくり返しては並べ直す。その手つきを横目で見ながら、ピースを手に取った。
 沈黙のなか、互いに手を動かす。俺たちの間の沈黙に、気まずさは少しもない。むしろ自然な感じだ。
 ふと、窓の外で風が鳴った。外を見れば雨が勢いよく降り注いでいる。
 一歩外に出れば嵐なのに、ここは呼吸音も聞こえるくらいに静かだ。

(あの夜も、こんな感じだったな)

 無意識のうちに手が止まる。気づいたら、もう記憶の中にいた。