夜半、軋轢音が身体を貫いた。
ミシミシと不快な音が、自分の体内から聞こえてくることに気がついた僕は、音の発信源を求めて胸をまさぐったが、それはどこかひとところから発されているというより、自分の神経の及ぶ端々の至る所から鳴っているようだった。何が起きているのか——と事態を飲み込むよりも先に、耐え難い激痛が思考を妨げ、身体はひとりでに、その衝撃を少しでも逃すように反り返って、僕の喉は呻く。
全身の骨組みが、引き伸ばされ、崩れていくようだった。骨だけではない、入り組んだ組織の隅々から、剥がれていくような。喘ぐ唇の隙間から、質量を持った影が入り込んでくる。僕はなすがままに喉を開き、するとおのずと蠕動は、その異物を腹の底まで招き入れる。
何かが、腹の中を這い回る。
どれくらいの間その鮮烈な混濁の中に僕はいたのだろう。やがてそれが、最後まで僕を削り取っていくようにまとわりつきながら潮のように引いていき、身体がすっかり弛緩する頃には、急速にほとぼりが冷めていく肌と、昨夜学校から帰宅してすぐにシャツを剥いでそのまま寝てしまった名残りのくたびれたインナーとの隙間は、汗ばんでいるというよりも、まるでちょうど海から揚がってきたと言わんばかりに湿っていて、不快が押し寄せる。
僕は浮上し、瞼をこじ開けて、枕の横に放った携帯電話を見る。
蓋に埋め込まれている液晶のデジタル時計には、「二時十五分」と表示されていた。こういった悪夢を見て飛び起きる時はたいて明け方だと思っていたが、まだ夜は深まったばかりだ。息を詰め、部屋の外の気配を窺うが皆寝静まっていて、すぐにでもシャワーを浴びたい気分だが、音を立てるわけにもいかないし、何より、先ほど蹂躙された——というべきなのかも分からないが、とにかくいまだあの痛みの余韻の中にいる身体は虚脱しきっていて、起き上がるのさえ億劫だった。
朝になれば何もかも忘れているだろう。
僕はそのまま、平穏な眠りに引き戻されるように失神する。
ミシミシと不快な音が、自分の体内から聞こえてくることに気がついた僕は、音の発信源を求めて胸をまさぐったが、それはどこかひとところから発されているというより、自分の神経の及ぶ端々の至る所から鳴っているようだった。何が起きているのか——と事態を飲み込むよりも先に、耐え難い激痛が思考を妨げ、身体はひとりでに、その衝撃を少しでも逃すように反り返って、僕の喉は呻く。
全身の骨組みが、引き伸ばされ、崩れていくようだった。骨だけではない、入り組んだ組織の隅々から、剥がれていくような。喘ぐ唇の隙間から、質量を持った影が入り込んでくる。僕はなすがままに喉を開き、するとおのずと蠕動は、その異物を腹の底まで招き入れる。
何かが、腹の中を這い回る。
どれくらいの間その鮮烈な混濁の中に僕はいたのだろう。やがてそれが、最後まで僕を削り取っていくようにまとわりつきながら潮のように引いていき、身体がすっかり弛緩する頃には、急速にほとぼりが冷めていく肌と、昨夜学校から帰宅してすぐにシャツを剥いでそのまま寝てしまった名残りのくたびれたインナーとの隙間は、汗ばんでいるというよりも、まるでちょうど海から揚がってきたと言わんばかりに湿っていて、不快が押し寄せる。
僕は浮上し、瞼をこじ開けて、枕の横に放った携帯電話を見る。
蓋に埋め込まれている液晶のデジタル時計には、「二時十五分」と表示されていた。こういった悪夢を見て飛び起きる時はたいて明け方だと思っていたが、まだ夜は深まったばかりだ。息を詰め、部屋の外の気配を窺うが皆寝静まっていて、すぐにでもシャワーを浴びたい気分だが、音を立てるわけにもいかないし、何より、先ほど蹂躙された——というべきなのかも分からないが、とにかくいまだあの痛みの余韻の中にいる身体は虚脱しきっていて、起き上がるのさえ億劫だった。
朝になれば何もかも忘れているだろう。
僕はそのまま、平穏な眠りに引き戻されるように失神する。
