冬姫は伍を蔵に閉じ込めることに成功した。
それから数日、冬姫は女中たちが蔵へ水と食事を差し入れるのを妨害し続けた。
冬姫は半ば本気で、伍を餓死させるつもりだったのだ。
(ありえない……冬神の巫女たるアタシよりも伍のほうが優れているなんて、そんなこと絶対にあってはならない! アンタは冷たい蔵の中で死んでしまいなさい、伍!)
そんなある日、冬姫は父が庭で立ち尽くしているのを見かけた。
父が手紙らしきものを手にし、伍が満開にさせた木を見上げている。
もう何年も前から花を咲かせなくなっていたはずの、桜の木を。
「……あぁ、冬姫か。ちょうどよかった。伍と一緒に書斎へ来なさい」
「なっ、どうしてアタシがあんな忌み子なんかと――」
「阿ノ九多羅家からの、手紙だ」
冬姫の抗議などまるで聴こえていない様子で、父がつぶやいた。
「四季神家の末娘を嫁に迎えたい、とな」
◆ ◇ ◆ ◇
それから数日、冬姫は女中たちが蔵へ水と食事を差し入れるのを妨害し続けた。
冬姫は半ば本気で、伍を餓死させるつもりだったのだ。
(ありえない……冬神の巫女たるアタシよりも伍のほうが優れているなんて、そんなこと絶対にあってはならない! アンタは冷たい蔵の中で死んでしまいなさい、伍!)
そんなある日、冬姫は父が庭で立ち尽くしているのを見かけた。
父が手紙らしきものを手にし、伍が満開にさせた木を見上げている。
もう何年も前から花を咲かせなくなっていたはずの、桜の木を。
「……あぁ、冬姫か。ちょうどよかった。伍と一緒に書斎へ来なさい」
「なっ、どうしてアタシがあんな忌み子なんかと――」
「阿ノ九多羅家からの、手紙だ」
冬姫の抗議などまるで聴こえていない様子で、父がつぶやいた。
「四季神家の末娘を嫁に迎えたい、とな」
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