四季神家の【五】女は年下夢魔軍神に溺愛される

 冬姫は伍を蔵に閉じ込めることに成功した。
 それから数日、冬姫は女中たちが蔵へ水と食事を差し入れるのを妨害し続けた。
 冬姫は半ば本気で、伍を餓死させるつもりだったのだ。

(ありえない……冬神の巫女たるアタシよりも伍のほうが優れているなんて、そんなこと絶対にあってはならない! アンタは冷たい蔵の中で死んでしまいなさい、伍!)

 そんなある日、冬姫は父が庭で立ち尽くしているのを見かけた。
 父が手紙らしきものを手にし、伍が満開にさせた木を見上げている。
 もう何年も前から花を咲かせなくなっていたはずの、桜の木を。

「……あぁ、冬姫か。ちょうどよかった。伍と一緒に書斎へ来なさい」
「なっ、どうしてアタシがあんな忌み子なんかと――」
阿ノ九多羅(あのくたら)家からの、手紙だ」

 冬姫の抗議などまるで聴こえていない様子で、父がつぶやいた。

「四季神家の末娘を嫁に迎えたい、とな」




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