四季神家の【五】女は年下夢魔軍神に溺愛される

 数日後、夜。

「旦那様、明日のお着替えをお持ちしました」
「ありがとう。入ってくれ」

 部屋に入ると、デウスがベッドに寝転びながら手紙を読んでいた。
 十歳の状態で、寝間着姿だ。

「なんて難しいお顔。せっかくの可愛いお顔が台無しですよ」

 (いつつ)は着替えを机の端に置いて、ベッドに腰掛けた。
 デウスの眉間のシワを按摩(あんま)してやると、デウスが「んぅ」とうなった。

「可愛いって言うな」
「あらあらまぁまぁ」
「伍、なんだか千代子に似てきてないか?」
「名誉なことですね。難しい内容のお手紙なのですか?」
四季(しき)(じん)冬姫(ふゆき)からだ」
「…………。なんてこと」

 伍はめまいを覚えたあと、デウスに頭を下げた。

「わたくしの家族が、たびたびご迷惑を……」
「伍が謝るようなことではないんだ。四季神冬姫のことは、伍とは切り離して考えているからな。とはいえ、頭が痛い問題であることは違いない」
「あの……旦那様、わたくしの胸でよければ、どうぞ」
「む、胸? いや、そういうのは別に……って、勝手に抱きしめるなっ」
「ほら、ぎゅーっ」

 伍はデウスの頭を思いっきり抱きしめた。

「んむっ……ぷはっ! マズい、危うく気を失うところだった。伍、これは危険だ。地獄級魔術より危険だぞ」
「ふふっ、そうですか。少しでも旦那様のお気が晴れたなら、よかったです。ですが……」
「ああ。お前の乳房は気持ちよ――ごほんっ、多少気は晴れたが、本質的な問題解決にはなっていない。やはり、四季神冬姫を何とかしなければならない」
「姉は何と?」
「『先日の無礼を謝罪したいので、茶会に招待する』、と。場所は四季神邸だ」
「無視してしまえばよいのでは?」
「そうもいかないんだよ。ほら」

 デウスがもう一通の手紙を取り出した。

「これは……六九六(むくろ)様からの紹介状?」
「まぁ、十中八九、俺に対する嫌がらせだろうな。夜会のときと同じだ」
「……行くしかないのですね」
「四季神冬姫が本当に改心しているのなら、和やかにお茶をして帰ればいい」
「改心していなければ……?」
「一戦交えることになるだろうな」




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