「【永遠に尽きることなく――AMEN】!」
光の槍が、デビルの残党を消し飛ばした。
「ようやく終わりか」
「今日も多いですね」
夜の襲撃を乗り切ったデウスが、電柱の上から飛び降りた。
袴姿の伍をおんぶする、いつものスタイルだ。
この『おんぶ戦法』は、『阿ノ九多羅家最強夫婦の名物戦法』として第七旅団内ですっかり定着した。
「ハロウィンが近いからな」
「はろ……何ですか?」
「ハロウィン。西洋の、悪魔悪霊を礼賛するお祭りだ。ほら、居留地のそこかしこに南瓜が飾られているだろう?」
「悪魔礼賛って……デビルが強くなっちゃうじゃないですかっ」
伍の吐息が、デウスの耳をくすぐる。それが、デウスは心地よい。
伍が降りたそうに身をよじる。が、デウスは気づいていないフリをして、スタスタと街の明かりのほうへ歩いていく。
「伍もだいぶ、理解が早くなってきたな。そのとおりだ。だが、事は宗教行事だ。下手に禁止して地下に潜られるくらいなら、こうして神戸港公認の行事として管理してしまったほうがいい」
「大変なのですね。ところで……」
伍が再び、身をよじる。
「一人で歩けるのですが」
「知ってる」
「旦那様は意地悪です」
「ふふっ、悪かったよ」
デウスは伍を優しく下ろした。
その様子を、戦後処理中の若手旅団員たちがはやし立てた。
――ひゅーひゅーっ、今日もお熱いですなぁ!
――最強の夫婦だ。神戸港は安泰だな。
真っ赤になった伍が、デウスの背中に隠れる。
――伍様は女神様だ。俺たちのアイドルだ!
――神々しい……
――俺も霊力譲渡してもらいたいなぁ。
危うい方向へ盛り上がりはじめる若手たち。
そんな彼らを、デウスが凍てつく目で一瞥した。
――し、ししし失礼しましたぁ!
――仕事に戻るのでありますっ。
若手たちが退散していく。
「まったく、どいつもこいつも」
伍が、デウスの背中からひょっこりと出てきた。
「慕われているんですね」
「今のはお前が……いや、何でもない」
実際、伍は驚くほど美しくなった。
衣食住の充実で、痩けていた頬はふっくらし、目の下の隈も消えた。
何より、表情が明るい。
目が合うと、花が咲くように微笑んでくれる。
(これだけ可愛ければ、若い将兵たちが色目を使うのもやむなし、か。いや、だがしかし)
デウスは伍をぎゅっと抱きしめて、
「誰にも渡さんぞ……」
「旦那様? 何の話ですか?」
「こっちの話だ。それより、霊力の使いすぎで【ヱイジング】が解けそうなんだ」
「まぁ、それは大変」
「だから……」
「はい、喜んで」
デウスは伍の手を取り、伍を物陰へいざなう。
老若男女様々な将兵たちが、そんな二人の後ろ姿をそっと見守っている。
◆ ◇ ◆ ◇
光の槍が、デビルの残党を消し飛ばした。
「ようやく終わりか」
「今日も多いですね」
夜の襲撃を乗り切ったデウスが、電柱の上から飛び降りた。
袴姿の伍をおんぶする、いつものスタイルだ。
この『おんぶ戦法』は、『阿ノ九多羅家最強夫婦の名物戦法』として第七旅団内ですっかり定着した。
「ハロウィンが近いからな」
「はろ……何ですか?」
「ハロウィン。西洋の、悪魔悪霊を礼賛するお祭りだ。ほら、居留地のそこかしこに南瓜が飾られているだろう?」
「悪魔礼賛って……デビルが強くなっちゃうじゃないですかっ」
伍の吐息が、デウスの耳をくすぐる。それが、デウスは心地よい。
伍が降りたそうに身をよじる。が、デウスは気づいていないフリをして、スタスタと街の明かりのほうへ歩いていく。
「伍もだいぶ、理解が早くなってきたな。そのとおりだ。だが、事は宗教行事だ。下手に禁止して地下に潜られるくらいなら、こうして神戸港公認の行事として管理してしまったほうがいい」
「大変なのですね。ところで……」
伍が再び、身をよじる。
「一人で歩けるのですが」
「知ってる」
「旦那様は意地悪です」
「ふふっ、悪かったよ」
デウスは伍を優しく下ろした。
その様子を、戦後処理中の若手旅団員たちがはやし立てた。
――ひゅーひゅーっ、今日もお熱いですなぁ!
――最強の夫婦だ。神戸港は安泰だな。
真っ赤になった伍が、デウスの背中に隠れる。
――伍様は女神様だ。俺たちのアイドルだ!
――神々しい……
――俺も霊力譲渡してもらいたいなぁ。
危うい方向へ盛り上がりはじめる若手たち。
そんな彼らを、デウスが凍てつく目で一瞥した。
――し、ししし失礼しましたぁ!
――仕事に戻るのでありますっ。
若手たちが退散していく。
「まったく、どいつもこいつも」
伍が、デウスの背中からひょっこりと出てきた。
「慕われているんですね」
「今のはお前が……いや、何でもない」
実際、伍は驚くほど美しくなった。
衣食住の充実で、痩けていた頬はふっくらし、目の下の隈も消えた。
何より、表情が明るい。
目が合うと、花が咲くように微笑んでくれる。
(これだけ可愛ければ、若い将兵たちが色目を使うのもやむなし、か。いや、だがしかし)
デウスは伍をぎゅっと抱きしめて、
「誰にも渡さんぞ……」
「旦那様? 何の話ですか?」
「こっちの話だ。それより、霊力の使いすぎで【ヱイジング】が解けそうなんだ」
「まぁ、それは大変」
「だから……」
「はい、喜んで」
デウスは伍の手を取り、伍を物陰へいざなう。
老若男女様々な将兵たちが、そんな二人の後ろ姿をそっと見守っている。
◆ ◇ ◆ ◇



