「ふふふ~ん」
デウスは上機嫌で第七旅団長室に入る。
「あらあらまぁまぁ、ずいぶんとご機嫌ですね。よいことでもありましたか?」
部屋の中にいたのは、阿ノ九多羅家メイド長兼家令の千代子だ。
「まぁな。だが、『もっとよいこと』があってな」
「というと?」
「実は――」
デウスは、昼間の一件――冬姫との顛末を千代子に話した。
「……ほほぅ?」
千代子がニヤリと笑った。が、目が笑っていない。
「伍様があんなにも自罰的で自己評価の低いお方だった理由が、分かりましたね。なるほど、双子の姉が原因でしたか」
「あの女の言動には、常習性があった。冬姫による伍への虐げは、長年に渡って行われてきた可能性が高い」
「ほほぅ。伍様を……あんなにも健気でよい子の伍様を、長年に渡って虐げ続けてきた?」
千代子の目が据わる。
「阿ノ九多羅家にとって、あのお方はもはや宝です。二十歳の坊っちゃんだけでなく、十歳の坊っちゃんのことも温かく受け入れてくださったお方。あまつさえ、坊っちゃんのことで怒ってすらくださったお方!」
「え、何の話だ?」
「こちらの話です。とにかくっ、
こんなにも阿ノ九多羅家にとって都合がよくて、
『都合がよい』というこちらの打算的な立場すら優しく受け入れてくださる度量があって、
器量よしで、
家事も得意で、
無量の霊力持ち!
そんな伍様に悲しい思いをさせるだなんて、四季神家が許しても阿ノ九多羅家が許しません!」
「おいおい、お前が怒ってどうする? 怒りたいのは伍のほうだろうに」
「伍様は怒り方を知らないお方ですから。代わりに、私が怒るのです。我ら阿ノ九多羅家が、どれほど身内を大事にする一族なのか。そして、どれほど敵に対して容赦のない一族なのか。四季神冬姫に身を持って思い知らせてやる必要がありますね」
阿ノ九多羅家メイド長兼家令兼『阿ノ九多羅家私設諜報室室長』の千代子が、ニヤリと笑う。
デウスも同じように笑った。
「では千代子、阿ノ九多羅家当主として命じる。冬姫を洗え。徹底的にだ」
「了解です!」
敬礼した千代子が、ウキウキした足取りで部屋を出ていった。
「まったく、あいつも性格が悪い」
自分のことは棚に上げて、デウスはほくそ笑むのだった。
デウスは上機嫌で第七旅団長室に入る。
「あらあらまぁまぁ、ずいぶんとご機嫌ですね。よいことでもありましたか?」
部屋の中にいたのは、阿ノ九多羅家メイド長兼家令の千代子だ。
「まぁな。だが、『もっとよいこと』があってな」
「というと?」
「実は――」
デウスは、昼間の一件――冬姫との顛末を千代子に話した。
「……ほほぅ?」
千代子がニヤリと笑った。が、目が笑っていない。
「伍様があんなにも自罰的で自己評価の低いお方だった理由が、分かりましたね。なるほど、双子の姉が原因でしたか」
「あの女の言動には、常習性があった。冬姫による伍への虐げは、長年に渡って行われてきた可能性が高い」
「ほほぅ。伍様を……あんなにも健気でよい子の伍様を、長年に渡って虐げ続けてきた?」
千代子の目が据わる。
「阿ノ九多羅家にとって、あのお方はもはや宝です。二十歳の坊っちゃんだけでなく、十歳の坊っちゃんのことも温かく受け入れてくださったお方。あまつさえ、坊っちゃんのことで怒ってすらくださったお方!」
「え、何の話だ?」
「こちらの話です。とにかくっ、
こんなにも阿ノ九多羅家にとって都合がよくて、
『都合がよい』というこちらの打算的な立場すら優しく受け入れてくださる度量があって、
器量よしで、
家事も得意で、
無量の霊力持ち!
そんな伍様に悲しい思いをさせるだなんて、四季神家が許しても阿ノ九多羅家が許しません!」
「おいおい、お前が怒ってどうする? 怒りたいのは伍のほうだろうに」
「伍様は怒り方を知らないお方ですから。代わりに、私が怒るのです。我ら阿ノ九多羅家が、どれほど身内を大事にする一族なのか。そして、どれほど敵に対して容赦のない一族なのか。四季神冬姫に身を持って思い知らせてやる必要がありますね」
阿ノ九多羅家メイド長兼家令兼『阿ノ九多羅家私設諜報室室長』の千代子が、ニヤリと笑う。
デウスも同じように笑った。
「では千代子、阿ノ九多羅家当主として命じる。冬姫を洗え。徹底的にだ」
「了解です!」
敬礼した千代子が、ウキウキした足取りで部屋を出ていった。
「まったく、あいつも性格が悪い」
自分のことは棚に上げて、デウスはほくそ笑むのだった。



