四季神家の【五】女は年下夢魔軍神に溺愛される

 デウスを文字どおり甘やかしたあとは、デパートメントストアだ。

「千代子様が、『坊っちゃんは成長期なので、すぐに服が小さくなる』と喜んでおられました。そういえば、今朝の洋風寝間着もお袖が短かったですよね」
「だから子供服売り場に来た、と? まったく、どこまで子供扱いすれば……」
「旦那様、こちらのお洋服なんてどうでしょう? やっぱり! 旦那様にはお洋服が本当によく似合う」
「ふふん、そうか? ……じゃなくてっ」

「お客様、よければご試着なさいますか?」
「いいんですか!?」

 店員の言葉に、伍は食いついた。

 それからしばらく、伍はデウスを着せ替え人形にして楽しんだ。
 昨日とは真逆の光景である。

「旦那様、次はこのお洋服を――旦那様?」

 伍は、デウスがソワソワしていることに気づいた。

「旦那様、どうかなさいました?」
「その……トイレだ」
「といれ?」
「厠だ」
「あらまぁ」
「済ませてくるから、ここで待っていろ」
「はい」

 デウスが厠のほうへ走っていく。
 その背中を見送った伍は、店先でしばしボーッとする。

(いろいろあったなぁ。二日前まで四季(しき)(じん)家にいたなんて、とても信じられない)

 父は、姉は、今頃どうしているのだろうか。




「あらぁ? 誰かと思えば、穢らわしい忌み子じゃないの」




「――ッ」

 骨身に染みている声を聴いて、伍は震え上がった。
 動機がする。
 あっという間に、額に冷や汗が浮いてきた。

「ふ、冬姫(ふゆき)お姉様……」

 腐った水の臭いとともに、双子の姉・冬姫が立っていた。