「……おい、伍」
元町を歩きながら、デウスが恨めしそうに尋ねてくる。
「手をつながなくても、一人で歩けるんだが?」
デウスが手を離そうとしたので、伍はデウスの指に自身の指を絡め直した。
「ですが、今の旦那様は十歳です」
「あのなぁ、お前も千代子も十歳、十歳と言うが、十歳と言えばもう尋常小学校高学年だからな? 一人で歩ける」
「わたくしが、旦那様と手をつないで歩きたいのです。いけませんか?」
「伍が望むのなら……やぶさかではないが」
「ふふっ、ありがとうございます。あ、見えてきましたよ」
「ここは、神戸風月堂?」
昨日、デウスに連れてきてもらった洋菓子店だ。
店内に入る。
店員に対して、伍は意を決して、
「あ、あのっ、アイスクリンを一つと、コーヒーを一杯くださいっ」
「かしこまりました。お席にご案内しますね」
(よしっ、ちゃんと注文できた)
注文するなど生まれて初めてのことなので、正直緊張した。
ほどなくして、注文の品がやってきた。
「旦那様、あーん」
「あのなぁ、俺は甘いものが苦手で――あむっ!?」
デウスが目を輝かせた。
「ふふふっ、やっぱり。旦那様、本当は甘い物お好きでしょう?」
「~~~~っ。軍の奴らには内緒だからなっ」
「かしこまりました。ですが、今くらいはいいじゃありませんか。今の旦那様は十歳なのですから。代わりにわたくしはコーヒーを……苦っ!?」
「ふふん、伍は子供舌だな。……苦っ」
「旦那様も苦がっているじゃないですかーっ」
「うるさいうるさいっ」
◆ ◇ ◆ ◇
元町を歩きながら、デウスが恨めしそうに尋ねてくる。
「手をつながなくても、一人で歩けるんだが?」
デウスが手を離そうとしたので、伍はデウスの指に自身の指を絡め直した。
「ですが、今の旦那様は十歳です」
「あのなぁ、お前も千代子も十歳、十歳と言うが、十歳と言えばもう尋常小学校高学年だからな? 一人で歩ける」
「わたくしが、旦那様と手をつないで歩きたいのです。いけませんか?」
「伍が望むのなら……やぶさかではないが」
「ふふっ、ありがとうございます。あ、見えてきましたよ」
「ここは、神戸風月堂?」
昨日、デウスに連れてきてもらった洋菓子店だ。
店内に入る。
店員に対して、伍は意を決して、
「あ、あのっ、アイスクリンを一つと、コーヒーを一杯くださいっ」
「かしこまりました。お席にご案内しますね」
(よしっ、ちゃんと注文できた)
注文するなど生まれて初めてのことなので、正直緊張した。
ほどなくして、注文の品がやってきた。
「旦那様、あーん」
「あのなぁ、俺は甘いものが苦手で――あむっ!?」
デウスが目を輝かせた。
「ふふふっ、やっぱり。旦那様、本当は甘い物お好きでしょう?」
「~~~~っ。軍の奴らには内緒だからなっ」
「かしこまりました。ですが、今くらいはいいじゃありませんか。今の旦那様は十歳なのですから。代わりにわたくしはコーヒーを……苦っ!?」
「ふふん、伍は子供舌だな。……苦っ」
「旦那様も苦がっているじゃないですかーっ」
「うるさいうるさいっ」
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