四季神家の【五】女は年下夢魔軍神に溺愛される

 取り上げられた瞬間から、その娘は『要らない子』だった。
 代々四人の娘を生み、春神・夏神・秋神・冬神の巫女として仕えさせてきた退魔の名家・四季(しき)(じん)家。
 その五女として、その娘は生まれた。四番目が、双子だったのだ。
 取り上げられた順番だけで五女となった彼女は、仕えるべき神を持たず、まるで犬猫のように檻の中で育てられた。

 春神に愛されし天才退魔師、長女・春香。
 夏神の友、次女・夏美。
 秋神の忠実なるしもべ、三女・秋穂。
 そして、冬神に仕えるべく修行中の四女・冬姫(ふゆき)
 四季の名を冠した美しき四姉妹は、今日も世間の注目を集めている。
 四季神たちは四姉妹の祈りを通じて、治水・天候操作・豊穣・退魔など様々な恩恵を大日本帝国に与えている。

 ……一方。
 この物語の主人公は、単なる五女――『(いつつ)』と名付けられた。
 伍は世間からその存在を秘匿され、冷たい屋根裏で育てられた。
 愛を知らず、温かさを知らず、息をひそめて生きてきた。
 そんな彼女に転機が訪れたのは、十八の晩秋のこと。




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