雨男 ✕ 雨女

 大好きだった幼馴染にフラれた日、思わぬ告白から付き合うことになったケンゴ君。

「よかったら、来週でも海水浴に行きませんか?」
 彼の誘いに戸惑う私。
 え~と、恥ずかしい云々以前に、私は雨女なので、イベントが雨で流れることが多いの。
「ごめんなさい。
 海水浴はちょっと…自信もないし…」

 滅入りそうになる私に、優しい笑顔で答える彼。
「大丈夫!
 当日はピーカンの夏日和だよ!」
「なに?
 どこからそんな話が出てくるの?」
 思わず彼に聞き返せば
「な~に、当たり前の事を言ったまでだよ♪」
「???」
「知らないかい?
 マイナス(カケル)マイナスはプラスになるんだよ♪」
「は、はぁ…」
 結局、彼の謎理論で海水浴に行く事になりました。

 そして、海水浴の当日。
「ま、眩しぃ!!」
 日差しに思わず手をかざしてしまう。
「ああ、いい天気になった!」
 海パン男のケンゴ君は納得顔で海を見回している。
 彼の予想は的中し、雲一つ無いピーカンの夏日和!

 私は、初めて袖を通したワンピースの水着で緊張気味。
 彼もトランクスの海パン一枚で、何だか所作がぎこちない。

 梅雨の合間に広がる爽快な空と海は、ほぼほぼ貸切状態♪
 二人だけの海水浴は、とっても楽しかった。

 そんな気持ちは欠片も無かったんだけれど、帰りの電車で二人並んで座っていると、とても緊張します。
 隣の彼が気になって仕方ありません。

「雨女に雨男が揃っちまったら、神様も『快晴』しか準備できないよ。」
 気さくに笑う彼。
「何なのその理屈?」
 私が笑って問いかければ
「数学的に言えば、マイナスにマイナスを乗算するとプラスに化けるわけよ。」
 人差し指を立てて、回答する彼
「え~~っ?
 それだけの理由?」
 私が口に手を当ておどけて見せれば
「何かおかしかった?」
 そう答えた彼の顔は眩しかった。