雨男 ✕ 雨女

「私、雨女だから…」
 そう言って、涙で潤む瞳をそのままに、笑顔を見せる『春日 ルリ』。
 彼女は俺のクラスメートであり、遊び友達の幼馴染。
 先程、フラれたばかりのお嬢さん。

「俺だって雨男だぜ。」
 作り笑いで答える俺は『園田 賢吾』、およそモテ期なんかとは無縁のブサメン。

「湿っぽい女だ!…って、人の話を聞けぇ!」
 どうやら合いの手が早すぎたようで、素早いツッコミが返ってくる。
 茶髪でポニテ、いつも元気でハキハキとして、お友達もよりどりみどりのお転婆さん。

「まぁ、そんだけ元気だったら問題なさそうだね。」
 テーブルに乗ったコーヒーに口をつければ
「そうよ!
 あんなお馬鹿さん、こっちから願い下げよ!」
 彼女もオレンジジュースに手を伸ばした。
 まぁ、今しばらくは引っ張るだろうけど、そのうち何とか…

「で、アンタは私に何の用だったの?」
 意表を突く直球
「はっ?」 
 思わずバットを振ってしまった。

「だって、私達の痴話喧嘩終わるの待っていたんでしょ?」
(いやいや、そんな事は…。)
「な、何言ってるんですか。」
 よしよし、心の声は漏れずに済んだ。

「おやおやぁ、何だか言い淀んでない?」
 イタズラっぽく語りかけるルリさん。
「ああ、もう解ったよ!
 付き合って欲しかったんだよ、ルリちゃんに!」
(そんな事言われましても…。)
 しまった!!
 本音と建前が入れ替わっちまった。

 ルリちゃん固まる。
 俺も固まる。

 - しばらく、お待ち下さい。 -

「じょ、冗談よね?」
 赤面して慌て始めるルリちゃん。
「本気だよっ!」
 俺も顔から火が出る勢いだが、ここまで来たら止まれない。

「ちょっと、考えさせて。」
 そう言って、自分の勘定を机においてルリちゃんは帰って行った。
 外は雨も上がり薄日が差している。

「雨降って地固まる…てか?」
 そんなつもりじゃなかったんだけれど…思わぬ方向で恋が動き始めてしまった。