20の差は遠くて




 お試し手作り弁当三日目____


 調理実習後、まだ足りないなっと思っていた俺は、売店に行くか迷っていた。

「西里、弁当一応作ってきたんだけど……」小笠原は、いつもの弁当箱を俺の机の上に置いた。
「マジで! 食う! 食う!」俺は、喜んで弁当の蓋を開けた。
「お! 旨そう!!」俺は、初めに卵焼きを箸で摘んで口の中に放り込んだ。
「〜〜! うっま!」
「……それは良かった」小笠原は、近くの席に座り微笑んだ。
 取り巻きの女子達は、お腹いっぱいなのか「西里、また食べてる……流石、食いしん坊……」俺が、モリモリ食べているところを見て若干、引いていた。それを聞いた小笠原は、また、あの時の沈んだ表情になる。
「小笠原、弁当美味しかったよ! ありがとう……いった!」俺は、ずっと我慢していた指先のひりつきに思わず声が出てしまった。その手を無言で小笠原が掴んだ。
「これ、あの時の火傷……?」小笠原は、俺の赤い指先を見て険しい顔をして立ち上がった。
「保健室行こ!」
「大丈夫だって……」
「大丈夫じゃないよ!」小笠原は、俺の手を引っ張る。

 小笠原に手を握られると……

「大袈裟だな……これくらいなんともないって!」俺は、小笠原に握られてる手から自分の手を引いた。

 落ち着かねぇ……

「……っ!」俺が、無理矢理手を引いたせいで赤い指先が痛み出した。
「……部活影響出たらいけないから手当だけさせて? ね?」小笠原は、一度、目を閉じで伏せ目がちに苦笑した。

 言い出したら聞かないんだな……

「……わ、分かったよ」俺は、短くため息を吐き小笠原の後について歩いた。
 
 *

 保健室のドアを小笠原が、ノックし開けた。
「先生いないみたいだね……椅子に座って」
「あ、うん……いいのか勝手に触っても」
「僕、部活でよく怪我してて」
「へぇ……意外」
「料理始めたの二、三年前だし……部活入った頃は、今みたいに出来た訳じゃなかったから」
 
 なんでも出来る完璧なやつと思ってたけど違うんだ……

「手、出して」
「え……おお」

 小笠原は、俺の赤くなった指先に軟膏を塗って、絆創膏を貼った。その手を小笠原の手が包み込んむ。
「食いしん坊なところ俺だけが知ってたかった……」小笠原は、包み込んだ俺の手を自分の頬へ擦り寄せた。
「……あ、ごめん!」
「え……なに……が? 」
 慌てて手を離した小笠原が、顔を真っ赤にさせるから、釣られて俺まで顔が熱くなった。

 ってか、さっきのとういう意味?

 頭の中がぐるぐるする____

 突然、保健室のドアが開いた。

「ん? 具合でも悪いのか?」養護教諭の冴木先生が気怠そうに入ってきた。
「火傷の手当をしました」小笠原は、使ったものを表に記入し立ち上がった。
「はい、記入オッケー。お大事な」冴木先生は、表に目を通し手を振った。
「失礼しました」二人でいい、なんだか話しかけづらくて無言のまま、小笠原と教室へと戻った。

 ああ! なんでこんなに! 頭ん中ぐるぐるするんだよ!