「ねぇ、どうして?」超不機嫌な顔の小笠原。
「・・・」俺は、何も言えず下唇を噛んだ。
「こういうのいいっていったよね?」小笠原は、更に畳み掛けてくる。
数分前、俺達は、めでたく両思いなれてた。
小笠原に、くくく……キキキ……キッスされそうになって、慌てた俺は、女子から預かった例の手紙を小笠原の顔へ押し付けたら、こんなことになった。
「だってさ、断りづれぇもん!」
小笠原は、20センチ上から、その手紙を俺に見せて見下ろしていた。
「俺の事好きなのに?」
「そ…そうだけど! 俺と女子じゃ勝ち目ねぇと思って……」俺は、いってて辛くなって顔を逸らした。
「弁当のお礼の話なんだけど」
「……え?」
「『西里からキス』でいい」小笠原は、短いため息を吐いてニッコリ笑った。
「はあ!?」
「だって、俺からは嫌なんでしょ?」
「そ…そうじゃねぇけど! 早いつーかなつーか!」
「早いって何? 俺は、ずっとしたかった。なのに、止められて……ああ、ショックなんですけど」小笠原は、ああの部分に、わざとらしく抑揚を付けた。
「分かった! 分かったから!」俺は、半分ヤケクソで小笠原を見上げた。
俺と小笠原の身長差は約20センチ。思ったより遠くて届かない。背伸びをしてみるが届かず、小笠原のネクタイを引っ張った。
「……ちょっと屈めよ!」
「ん……かわいい」不機嫌な顔を緩めて笑う小笠原。
「うるさい! かわいいゆーな!」俺は、小笠原のネクタイをぐいっと引っ張った。小笠原が、少し下に向けた顔を両手で包み、短いキスをした。20センチが、もどかしくて見上げると、小笠原の顔が近付きもう一度キスをする。
「好き…… 好きだよ。安心して、西里以外入る余地ないから」
「おお、……うん」
小笠原は、俺をぎゅっと強く抱きしめた。
「ってか、もういいだろ離せよ」
「もう少しだけ……ね?」小笠原は、離れよとした俺を抱き寄せた。
「おまえ、そんなキャラだったっけ?」
「ん……どうだろ?」小笠原は、あははっと声を出して笑った。
俺も好き……大好きだよ。でも、今はなんか腹立つから言わねぇ!!
【完】
