【執筆中】オバケ怖くて夜トイレ行けないプロレスラー(つよい)【間に合うのか!?】


【平野 春休(ひらの はるやす)という男】

 平野春休は社畜の平社員である。
 頼まれたら断れない性格でいつも仕事を押し付けられて損をしている……しかしそんな彼の『優しさ』を密かに見ている女子社員が居て――なんてロマンスもない。
 なぜならココはブラック企業。誰もが自分のことで精一杯なのだ。

「……うわっ、雨……」

 また平野春休は生粋の『雨男』でもある……これだけであればまだ普通なのだが、平野春休は最終的にはいつも『ずぶ濡れになって帰るハメになる』という悲しき星の運命にある。
 彼の一日……正確には『職場を出たところで雨が降っていることに気付いてからずぶ濡れになって帰宅するまで』を見てみよう。

「……うわっ、雨……」

 平野春休はコンビニに立ち寄りビニール傘を買った。
 デザインなどは考慮せず、とりあえず自分の手に触れた1本を買う。
 平野春休自身も薄々気付いているからだ……『お気に入りの傘が無駄になる』怖さが。

 傘を差しながら帰路を歩く平野春休。
 道の角に差し掛かったところだろうか……なにやらモゾモゾと動く未知の生物が居る。
 春休がそっと覗き込むと……

「んなー」

 という可愛らしい声と共に毛布にくるまれた可愛らしい子猫が段ボールに捨てられている。

 あぁ、まただ。

 平野春休は己の悪運を呪った。猫かわいい。猫かいたい。でもウチ賃貸マンション。猫かえない。濡れてる、かわいそう。でもこの傘がないと、俺は……

「ちくしょーーーーーーーーーーっ!!!!!!!!!!!!」

 平野春休はカバンを傘代わりに叫びながら雨の中を駆け抜けた。
 どうして自分はいつもこう……でもそんな自分が俺は嫌いじゃないし、ってか雨冷たい。冷たすぎて痛い。雨、痛い。
 ビニール傘の下で、子猫が顔をなめていた。

 その時だった。

「……猫が顔を洗うと雨になる……」

 低い、よく通る声がすぐ後ろから聞こえた。
 振り向くと、そこに立っていたのは黒ずくめの巨漢だった。
 上下黒のトレーニングウェアにフードを目深に被り、雨の中をランニングしていたらしい。
 身長は明らかに2メートルを超え、肩幅も尋常じゃない。
 ただならぬ強者のオーラが、雨の匂いと共に漂ってくる。
 平野春休は思わず一歩後ずさった。