今夜、カーテンの中で

東条祭まであと4日(火曜日)

 劇の準備は順調だった。そして、劇への不安が減れば減るほど俺の頭の中を沢野が占めはじめる。
 沢野と過ごした時間を思い出さないように。
 あれはただの現実逃避だったのだと、自分に言い聞かせるために。

 けれど、一度意識してしまったものは簡単には消えない。
 カーテンが風に揺れるだけで思い出す。
 月明かりを見るだけで思い出す。
 ふと静かな場所に入ると、「黒崎」と呼ぶ沢野の声が聞こえた気がしてしまう。

(もしかして、会いに行かない俺を恨んで沢野は怨霊になっちゃったかな……)

 正直、沢野に取り憑かれて殺されるなら本望だ。でも東条祭当日まで待ってくれ。クラスのみんなの努力を無駄にしたくないから。