きみに会うためのデスゲーム

 足音が聞こえてきた。蓮が戻ってきたのかもしれない。僕はドアに近づいた。
 けれど足音は複数で、会話が聞こえてきた。
「佐久間は人間だろっ……なんで人間を襲うんだっ……」
「そりゃ……室井がロボットだからだろ……」
 僕の名前が聞こえてドキッとした。ホワイトボードには『ここにいれば大丈夫』と書いてある。でも、彼らと僕を隔てるものは、ドア1枚。これを開けられたら終わりだ。
「あいつらってなに? やっぱ付き合ってんの?」
「命をかけて守りたいくらいには……特別なんだろ……」
「所詮ロボットだろ……!」
「でも心がある」
「んなもんねえよっ!」
「1年間一緒に過ごしただろ。お前、室井に感情がないと思うのか?」
「…………」
「俺は、あいつの感情は本物だと思う」
「でも、ロボットだ」
「ああ、生き残るのは俺たちだ」
「くそっ……あと何人残ってるっ……先生っ! 人間の数はっ!」
『20、2時、40、1分現在、人間、の、数は、4人、です』
「あと4人……」
「ロボットはっ!」
『20、2時、40、1分現在、ロボット、の、数は、10、1体、です』
「まだ11体もいんのかよっ……」
「室井を探そう。佐久間は室井のために戦ってんだ。室井が死ねば、あいつがロボットを勝たせる理由はなくなる」
「室井……一体どこにいるんだ……」
 足音が近づいてきて、体がガクガクと震え出した。
「うわっ……なんだこの臭い」
 臭い?
「近づかない方がいい。こんな場所、5分だっていられないさ。他を探そう」
「……そうだな」
 足音が遠ざかっていく。僕は別の不安に駆られた。
 僕は、何も臭いを感じない。