きみに会うためのデスゲーム

 トイレに足音が入ってきた。俺と桐谷は顔を見合わせ、頷き合った。鍵はかけていない。血だらけの個室なら開けられることはないと判断したからだ。だから気配を消さなきゃいけない。
 ドサっと、布袋でも落としたような音が聞こえた。
 布の擦れる音。ファスナーを下ろす音。
 カン、銃声が1発。
 驚いて桐谷を見る。桐谷は唇だけで(大丈夫)と言って、唇に人差し指を当てた。
 何をしているんだろう。カチャカチャと金属音が聞こえてくる。
 カランカランと何かが転がる音。ドアの隙間を通って、銀色のパーツが転がってきた。
「っ……」
 ハッとした。分解だ。
 このドアの向こうにいる人間は……ロボットかもしれないが……そいつは、ロボットを分解している。
「先生」
 凛と澄んだ男の声だった。誰の声だろう。
「人間の数は?」
『10、8時、8分現在、人間、の、数は、10、6人、です』
 人間が3人死んだ。
 腹を括ったつもりだった。でも、3人も死んだことに、動揺している自分がいる。
 馨や桐谷を勝たせるためには、俺も含めて、あと16人死ななければならない……
 黙々と分解していく。90秒おきに銃声が鳴った。その度に、カチャ、と部品の外れる音がした。
 手を止めたのか、音が止んだ。
 廊下から足音が近づいてきた。
 カン
 銃声。直後、カン、カンと2回続けて銃声が響いた。慌ただしくトイレを出ていく足音……
 そして、静寂。トイレに誰もいなくなったとわかると、俺たちはそっと個室を出た。
「っ……」
 分解された男子生徒の姿が視界に飛び込んできた。
 上半身と下半身が切り離され、けれど数本のコードで繋がった状態だ。
 瞳が片方、くり抜かれていた。引き裂かれた胸の中は、精密な部品がびっちりと詰まっていた。