ガラッと音がして、体育館に誰かが入ってきた。
蓮が腰を上げ、僕の不安を察した彼は「大丈夫だから」と小声で言った。
「様子を見に行く。綾人はここにいて」
「でもっ……血が……」
僕が噛んだせいで、蓮の唇は切れてしまった。相手が機械だった場合、攻撃されるんじゃないか……
蓮は微笑んだ。
「綾人も同じだよ」
そう言って、僕の唇に触れた。
「あ……」
蓮の指に血がついた。
「だから大丈夫。人間を偽っていると嘘をつく。もし攻撃されたら綾人、出てきてくれるね?」
僕は頷いた。
蓮は立ち上がると、2階通路へと繋がる階段を上って行った。
「梶本か」
まもなく、体育館に蓮の声が響いた。
梶本……
「やる気満々だな」
梶本の声。
「お前だって」
「ひとりか?」
「ああ」
蓮は即答した。
「人間だな、お前は」
「だったらどうする?」
カンッ
聞き覚えのある音に、ドクっと胸が跳ねた。
蓮が撃たれた……
僕は慌てて舞台袖から外へ出た。コートに立つ梶本が、僕にロアの銃口を向ける。
ロアは発砲後90秒間は使えない。けれど梶本は両手にロアを持っていた。梶本に外傷はなく、見た目ではロボットか人間かわからない。仮に梶本が撃たれていても、ロボットは血が出ないため、場所によっては撃たれていても、着替えてしまえばわからない。
「ロアを下せ」
2階通路から梶本に銃口を向けながら、蓮が言った。パッと見たところ外傷はない。
代わりに彼の近い位置にあるバスケットゴールの板に穴が空いていた。
いや……今まで気づかなかっただけで、よく見ると、体育館全体が銃弾によって傷んでいた。ガラス窓は割れ、その破片がコートに散乱している。
「室井はロボットか」
「綾人を撃ったら、俺がお前を殺す……っ」
「安心しろ。ロボットは殺さない」
梶本はそう言って、僕に向けたロアを再び蓮に向けた。僕の肩は銀色の内部が剥き出しになっていて、一目でロボットとわかる。
「で、お前はどうなんだ?」
梶本が蓮に聞いた。
「同じだ」
「ロボットってことか?」
「ああ」
「じゃあその血は?」
蓮はいつの間に用意したのか、ポケットからネクタイを取り出した。滴り落ちるほど血がついている。
「人間を装うため」
「なるほどな」
梶本はやっとロアを下ろした。蓮はロアを構えたままだ。
「ロボットを集めよう」
梶本は言った。
「……集める?」
「このままじゃ俺たちは負ける」
「集まる方が危険じゃないか」
「俺たちに足りないのは情報だ。人間に勝つには、ロボットの仕組みを把握する必要がある。まずは作戦会議だ」
「どこに集まるんだ?」
「俺たちの城、調理室」
「もう何人か集まってるのか」
「ああ。でも数人だ。襲撃されたらまずい。この試験は集まったもん勝ちだ。10人以上で固まっていれば、襲われることはない」
なるほどと思った。集まっているとバレても、人数が揃っていれば襲撃されにくい。
自分ですらロボットだと知らないのだ。誰がロボットかわからない状況では、仲間同士が集まることすら難しい。
だから、集まれたら強い。
「わかった。調理室に向かう」
蓮が言った。
「俺は他の奴らにも伝えに行く。じゃあな」
と言って、梶本は体育館を出て行った。
蓮が腰を上げ、僕の不安を察した彼は「大丈夫だから」と小声で言った。
「様子を見に行く。綾人はここにいて」
「でもっ……血が……」
僕が噛んだせいで、蓮の唇は切れてしまった。相手が機械だった場合、攻撃されるんじゃないか……
蓮は微笑んだ。
「綾人も同じだよ」
そう言って、僕の唇に触れた。
「あ……」
蓮の指に血がついた。
「だから大丈夫。人間を偽っていると嘘をつく。もし攻撃されたら綾人、出てきてくれるね?」
僕は頷いた。
蓮は立ち上がると、2階通路へと繋がる階段を上って行った。
「梶本か」
まもなく、体育館に蓮の声が響いた。
梶本……
「やる気満々だな」
梶本の声。
「お前だって」
「ひとりか?」
「ああ」
蓮は即答した。
「人間だな、お前は」
「だったらどうする?」
カンッ
聞き覚えのある音に、ドクっと胸が跳ねた。
蓮が撃たれた……
僕は慌てて舞台袖から外へ出た。コートに立つ梶本が、僕にロアの銃口を向ける。
ロアは発砲後90秒間は使えない。けれど梶本は両手にロアを持っていた。梶本に外傷はなく、見た目ではロボットか人間かわからない。仮に梶本が撃たれていても、ロボットは血が出ないため、場所によっては撃たれていても、着替えてしまえばわからない。
「ロアを下せ」
2階通路から梶本に銃口を向けながら、蓮が言った。パッと見たところ外傷はない。
代わりに彼の近い位置にあるバスケットゴールの板に穴が空いていた。
いや……今まで気づかなかっただけで、よく見ると、体育館全体が銃弾によって傷んでいた。ガラス窓は割れ、その破片がコートに散乱している。
「室井はロボットか」
「綾人を撃ったら、俺がお前を殺す……っ」
「安心しろ。ロボットは殺さない」
梶本はそう言って、僕に向けたロアを再び蓮に向けた。僕の肩は銀色の内部が剥き出しになっていて、一目でロボットとわかる。
「で、お前はどうなんだ?」
梶本が蓮に聞いた。
「同じだ」
「ロボットってことか?」
「ああ」
「じゃあその血は?」
蓮はいつの間に用意したのか、ポケットからネクタイを取り出した。滴り落ちるほど血がついている。
「人間を装うため」
「なるほどな」
梶本はやっとロアを下ろした。蓮はロアを構えたままだ。
「ロボットを集めよう」
梶本は言った。
「……集める?」
「このままじゃ俺たちは負ける」
「集まる方が危険じゃないか」
「俺たちに足りないのは情報だ。人間に勝つには、ロボットの仕組みを把握する必要がある。まずは作戦会議だ」
「どこに集まるんだ?」
「俺たちの城、調理室」
「もう何人か集まってるのか」
「ああ。でも数人だ。襲撃されたらまずい。この試験は集まったもん勝ちだ。10人以上で固まっていれば、襲われることはない」
なるほどと思った。集まっているとバレても、人数が揃っていれば襲撃されにくい。
自分ですらロボットだと知らないのだ。誰がロボットかわからない状況では、仲間同士が集まることすら難しい。
だから、集まれたら強い。
「わかった。調理室に向かう」
蓮が言った。
「俺は他の奴らにも伝えに行く。じゃあな」
と言って、梶本は体育館を出て行った。


