きみに会うためのデスゲーム

 試験中は自由時間だ。でも学校に行くことはできないから、図書館や体育館は使えない。そのため、寮待機の学生は談話室でテレビを見たり、自室で過ごすしかない。
 この日も僕は蓮と一緒に自室にいた。
「ねえ蓮」
「なに?」
 蓮は小説に視線を落としたまま返事をした。
「デスゲームだったら、誰が生き残ると思う?」
「そんな試験はありえないよ」
「たとえ話だよ。……蓮、前言ってたろ? 家族がいる人間が生き残るって…………」
「言ったね」
「それは、僕たちのこと?」
「綾人のことだよ」
「僕は……確かに……蓮がいたら、死ぬわけにはいかないって思うよ。でも、蓮が死んだら、そんな気持ちも失せる……」
 鼻が高く、顎筋のラインに無駄がない。全てのパーツの配置が完璧な彼は、横顔が特に美しい。
「俺が死んでも、綾人には家族がいるじゃないか」
「それは……」
「もしデスゲームだったら、俺は綾人に生き残ってほしい。自分の母親がどんな人間か、ちゃんとその目で見てほしい」
「ごめん……」
 蓮はハッとしたように僕を見ると、すまなそうな顔をした。
「俺のほうこそごめん」
 僕は首を横に振った。
 蓮は僕の頬に手を添えた。
「もう少しの辛抱だから」
 蓮は妙なことを言った。
「……辛抱?」
「ああ。もう少しで……」
 蓮が言いかけた時だった。
『4組、の、卒業、試験が、終了、しました』
 ふたりのリストバンドから無機質な音声……先生が言った。
 僕たちは顔を見合わせた。蓮の喉がゴクリと動く。
「もう、終わった……? だってまだ……」
 置き時計は13時を回ったところだ。
「睡眠耐久試験」なんて意見があったが、これでその可能性は無くなった。
 4組の卒業試験は、たった6時間で終わった。