Re:BRAVE・ZERO

 (なぞ)集団(しゅうだん)に連れ去られた少年、剣崎勇樹(けんざきゆうき)捜索(そうさく)する、ヘンリー国王は、捜索部隊(そうさくぶたい)編成(へんせい)した。
 しかし、街の近くに黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンが出現(しゅつげん)した事によって、事態(じたい)急変(きゅうへん)
 急遽(きゅうきょ)予定(よてい)変更(へんこう)して、黒竜(こくりゅう)を迎え()つ為に、黒竜(こくりゅう)出現(しゅつげん)したとされる現場(げんば)へと向かう。

「はあはあ、(どこに行ったんだ勇樹(ゆうき)?)」
(あせ)るなよ、ランスロット先生!」

 黒竜(こくりゅう)出現(しゅつげん)した場所(ばしょ)に向かいながら二人で、行方不明(ゆくえふめい)になった少年、勇樹(ゆうき)を探す、ランスロット先生とニール先生。
 (あせ)りを感じつつも、可能な限り(いそ)いで、現場(げんば)へと向かう。

「くっ…」

 ランスロットは、ヘンリー国王からの言葉(ことば)を思い出していた。

 ~ランスロットの回想(かいそう)

「ランスロットよ、勇樹(ゆうき)は親の愛情(あいじょう)を知らず、国の者からは、あの()()の事で(けむ)たがられる!――だから、人の気を引く為にいたずらをするしか無かったのじゃ!――どんな形であれ、自分の存在価値(そんざいかち)を認めて欲しかったんじゃよ?――強がってはいるが、辛いのは勇樹(ゆうき)の方じゃ!」

「急ぎましょう、ニール先生!」
「ええ!」

 ~王宮(おうきゅう)ヴィクトリアキャッスルの王の()にて~

「(あの顔に傷のある男が、勇樹(ゆうき)に、自分自身が、あの黒竜(こくりゅう)だと伝わってしまったか――ランスロットやニールに託すしかないか?)」

 水晶玉(すいしょうだま)で、外の様子(ようす)を見る、ヘンリー国王。

 ~街の近くの廃墟(はいきょ)にて~

「「「「「ガオォォォン!!」」」」」

 黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンが、街に向かって進行(しんこう)していた。
 そこへ、謎の女が現れた。
 真紅(しんく)の瞳《ひとみ》と、|艶(つや)やかな赤い(かみ)(なび)かせ、白い肌を月夜(つきよ)に照らす。
 不敵(ふてき)な笑みを浮かべながら、遠く(はな)れた場所(ばしょ)から黒竜(こくりゅう)(なが)めている。

「あら?――予定(よてい)より早いわね?――あの男、仕事(しごと)は出来るようね?――でも、食べられちゃったみたいね?――可哀想(かわいそう)に」

 そこへ、黒竜(こくりゅう)を止める為に、いち早く現場(げんば)に辿り着いた、二人の男。
 ランスロット先生とニール先生。

間違(まちが)いない、あれは、黒竜(こくりゅう)だ!――間に合わなかったのか…くそ!」
「ランスロット先生!――諦めるな!」

 ニール先生が、ランスロット先生の(ほほ)を叩く。

「ニール先生?」
「ランスロット先生が、勇樹(ゆうき)君を助けるんだろ?――お前が助けずに誰が助けるんだ!!」

 ニール先生の言葉(ことば)に、はっ、と我に帰り。
 今度は、自分で自分自身の(ほほ)を叩く。

「(そうだよな、俺がアイツを助けてやるんだ!)」

 決意(けつい)()ちた目と顔になる。
 黒竜(こくりゅう)に近付こうとする。
 しかし、それを妨害(ぼうがい)するかのように、魔物(まもの)が、まるでタイミングを合わせたかのように出現(しゅつげん)した。

余計(よけい)な事をしないで欲しいわね?――せっかく目覚(めざ)めた、黒竜(こくりゅう)は、そのまま(あば)れさせたいもの」

 謎の女が、魔物(まもの)を引き連れて、二人の前方に立ち(ふさ)がる。

「くっ…何者(なにもの)だ?」
「ランスロット先生!――行って下さい!――ここは、俺が引き受けます!」
「しかし!――ニール先生お一人では?」
「俺なら、一人で大丈夫です!早く勇樹(ゆうき)君を迎えに行ってあげて下さい!」

 ニール先生が、攻撃魔法(こうげきまほう)で、前方(ぜんぽう)出現(しゅつげん)した魔物(まもの)()れを攻撃(こうげき)して、道を切り開く。

「今のうちです!――ランスロット先生!――勇樹(ゆうき)君を!」
「ニール先生!――ありがとうございます!」

 ニール先生の攻撃魔法(こうげきまほう)援護(えんご)も受けながら、黒竜(こくりゅう)の元に向かう、ランスロット先生。
 謎の女が立ち(ふさ)がろうと、前に出ようとするが、ニール先生が、その謎の女の前に出る。

「行かせるとおもってんの?」
「お前の相手は、俺だ!――(頼んだぞ?ランスロット先生!)」
「いいわよ?――可愛がってあげるわ!」

 ~黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンが出現(しゅつげん)した場所(ばしょ)

「はあはあ…、(くっ…勇樹(ゆうき)!やっと辿り着いたぞ!)」
《なんだ、人間!――我に用があるのかな?》

 ランスロット先生が、たった一人で、黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンの前に辿り着く。
 黒竜(こくりゅう)は、不敵(ふてき)な笑みを浮かべながら、ランスロット先生を見下ろしている。

「すー、勇樹(ゆうき)!――その黒竜(こくりゅう)の中にいるんだろ?――早く出てこい?――そんなところに居ないで、一緒に帰るぞ!!」

 一度、息を吸ってから、黒竜(こくりゅう)に向かって、少年、勇樹(ゆうき)に向かって、大声で呼ぶ。

《フフフ、無駄(むだ)よ?――我がめざ(》めた以上は、彼の者の|意識《いしき)は、無い!》
「うるさい!――勇樹(ゆうき)!――ごめんな、先生は、お前の事を、何も分かっていなかったんだ!――俺は、お前に強くなって欲しかったんだよ?――勇樹(ゆうき)!――お前の夢は、英雄(えいゆう)に、勇者(ゆうしゃ)になる事だろう!!――そんなヤツに負けていいのか?――お前は、もっと強い男の(はず)だろ!!」

 大声を張り上げて、声が届くかも分からない、少年、勇樹(ゆうき)に向かって、強い意思(いし)で自分の正直(しょうじき)な気持ちを伝える。

無駄(むだ)と言うのが、分か…》
《先生、ランスロット先生!》
《何!?――バカな?》

 声が届いたのか、黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンの念話(ねんわ)を、(さえぎる)るように、少年、勇樹(ゆうき)の気持ちなのか、言葉(ことば)なのか、が念話(ねんわ)を通して、ランスロット先生に届く。

勇樹(ゆうき)!?――聞こえるか?――」
《先生、ごめんなさい、俺、弱いのに調子(ちょうし)に乗っちゃったから》
「いいんだ…そんな事は、お前が無事(ぶじ)ならそれでいい」
《先生…》
《この!――調子(ちょうし)に乗るな!――》

 黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンが、少年、勇樹(ゆうき)言葉(ことば)に割り込むように、再び妨害(ぼうがい)して現れる。
 その時、黒竜(こくりゅう)(あば)れた拍子(ひょうし)に、ランスロット先生に、黒竜(こくりゅう)尻尾(しっぽ)命中(めいちゅう)してしまった。

「ぐ、……」
《先生!?――》
「だ、大丈夫だ、勇樹(ゆうき)…かはっ!」

 その黒竜(こくりゅう)尻尾(しっぽ)にしがみ付く。
 が、攻撃(こうげき)を受けた(さい)にダメージを負う。

《な、何で?――俺にそこまで?》
「お、同じだからさ…」

 ランスロットの子供時代(こどもじだい)を思い出しながら。
 ランスロット視点(してん)で語り始める。

両親(りょうしん)が死んでから、誰も俺の事を()めたり、(みと)めてくれる人が居なくなっちまった…」
「出来が悪かった俺は、よくバカをやった!――人の気を引き付けたかったから、優秀(ゆうしゅう)な方で人の気を引け無かったから…ずっとバカやってたんだ…」

「苦しかった…グス(泣きながら)…そうだよな、勇樹(ゆうき)、寂しかったんだよな?――苦しかったんだよな?――ごめんな勇樹(ゆうき)…俺がもっとしっかりしてりゃ、こんな思いをさせずに済んだのに…」

《フフフ…笑わせるわ!――お前がいくら語り掛けようとも無駄(むだ)だ!――コヤツも我と同じ化物(ばけもの)なのだ!》
《……》

 黒竜(こくりゅう)の中から、ランスロット先生の話に耳を(かたむ)ける、少年、勇樹(ゆうき)

「ああそうだな」
《ッ!?――(やっぱり、そうなんだ、ランスロット先生も、本当は俺の事、(みと)めてねぇんだ!)》

化物(ばけもの)ならな?――けど、勇樹(ゆうき)は違う!――アイツは、この俺が認めた優秀(ゆうしゅう)英雄(えいゆう)だ!――努力家(どりょくか)で、一途(いちず)で、そのくせ不器用(ぶきよう)で…、誰からも(みと)めてもらえなくて――アイツは人の苦しみを知っている!――アイツは化物(ばけもの)なんかじゃ無い!――この英雄都市(えいゆうとし)剣崎勇樹(けんざきゆうき)だ!」
《…くっ…(泣きながら)》

《お遊びは終わりだ!》

 黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンが、ランスロット先生を殺そうと、爪で切り裂こうと攻撃(こうげき)をする。

「これまでか…」
《うわぁぁぁ!――ランスロット先生に手を出すな!!》
《何!?――バカな?――うおぉぉぉ!!》

 それをさせまいと、少年、勇樹(ゆうき)渾身(こんしん)の力を振り(しぼ)り、黒竜(こくりゅう)の力を抑え込み。
 黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンが、(ちぢ)んで行く。
 黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンの姿が元に戻って、少年、黒竜(こくりゅう)の姿に戻る。

「にひっ!――ランスロット先生?――大丈夫か?」
「ああ、(――まったく人騒(ひとさわ)がせなヤツだな?)」

 黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンの力を抑え込み、元の姿に戻った、少年、勇樹(ゆうき)が、ニコっと微笑(ほほえ)む。
 負傷(ふしょう)した、ランスロット先生の元へと、()()って、声を掛ける。

勇樹(ゆうき)、ちょっとこっちに来い!――お前に渡したい物がある」
「ん?」

 ~黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンが出現(しゅつげん)した場所(ばしょ)から近くの廃墟(はいきょ)にて~

「どうやら、終わっちゃったみたいね?――勝負は、またの機会(きかい)に取って置きましょうか?――お互いに、これ以上の戦いは無意味(むいみ)だわ?」
「そうだな」

 謎の女が、出現(しゅつげん)させた魔物(まもの)を盾に使って爆発(ばくはつ)させて、逃亡する。
 ニール先生が、座り込む。

「帰ってくれて良かったぜ?――こっちもギリギリだったからな?――ランスロット先生は、上手くやったみたいだな?」

 ~英雄都市(えいゆうとし)ヴィクトリアマジェスティ~

勇樹(ゆうき)は、見つからなかったか?」
「それより黒竜(こくりゅう)は?」

 英雄都市(えいゆう)入口付近(いりぐちふきん)で、(さわ)ぎ始める、騎士団(きしだん)近衛兵(このえへい)冒険者(ぼうけんしゃ)たち。
 そこへ、ヘンリー国王が来て。

「もう心配(しんぱい)する事は無い!――もうじき帰って来るじゃろう」

 ~黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンが出現(しゅつげん)した場所(ばしょ)

「先生?――まだ?」
「よし、もう目を開けていいぞ!」

 少年、勇樹(ゆうき)が、目を開けると、自分自身の胸の服に、バッチが付けてあった。
 それは、英雄(えいゆう)アカデミーの卒業の証として、もらう事が出来る物だ。

「卒業、おめでとう」
「……」
「よし、卒業祝いだ!飯を(おご)ってやるぞ?」
「ランスロット先生ー!!」
「があぁぁ、痛ぇよ」

 少年、勇樹(ゆうき)が、嬉しさのあまりに、ランスロット先生に抱き付く。
 ランスロット先生は、黒竜(こくりゅう)との戦いによるダメージが残っていて、痛みを訴えるが、その顔は穏やかで、嬉しそうだ。

「(勇樹(ゆうき)英雄(えいゆう)にとって大変なのは、これからだって、説教(せっきょう)してやるつもりだったが――それは、飯を食う時まで我慢(がまん)しといてやるか?)」