Re:BRAVE・ZERO

 王宮ヴィクトリアキャッスルにて、二つの国の王様が、この国に来ていたのだ。

「あなた方は…」
「(誰だあの偉そうなおっちゃん達は?)」
「アクサンドロス王とアロガンス王!」

 勇樹(ゆうき)の近くに並び立つは、傲慢(ごうまん)の王、アロガンス王!豪傑(ごうけつ)の王、アクサンドロス王!

「おい?少年!――試験に落ちたそうじゃないか?オジさん達が何とかしてやろうか?」
「え?えーと…」

 そこに、
 この国の王こと、ヘンリー国王が割って入る。

勇樹(ゆうき)は、英雄アカデミーの卒業試験で落ちたそうじゃ、この話は、私の国の問題で………」
(たわ)け!」
「その程度(ていど)の事で、若い青葉(あおば)の未来を(うば)うのか貴様(きさま)は?」

 アロガンス王が、ヘンリー国王の話と言葉を(さえぎ)るように、割り込む。

「そうだな…、来年の俺の国から入荷する筈だった物を、無しにした方がいいか?」
「え?いやいや、それはその…」
「では、俺の国からのも無しにしても?」
「それだと、我々の国が困る!」

 ヘンリー国王が困惑(こんわく)している。
 それもその筈、アクサンドロス王の国からは作物や果物を、アロガンス王の国からは金銀をそれぞれ、この国へと物流されているのだ。
 しかし、この二つの国と、ヘンリー国王の国とでは、国力的にも弱小な国、故に、物流が止まると非常に困るのだ。
 しかも、アロガンス王とアレクサンドロス王は、たまに気分で、変えたりする為、ヘンリー国王も頭が上がらない。
 加えて、兵力も――二つの国には、遠く及ばない。
 万が一にも、戦争になったら、一日も持たないだろう。

「ならば、そこの少年の処遇(しょぐう)は、合格で良いなヘンリー?」
「いや~、それは、その…」
「はっきりせんか!」
「はい!合格でいいです!――なので、物流の方は…」
「分かっている――その話も含めてな?」

 少年、勇樹(ゆうき)のところに、アロガンス王が来て「良かったな少年」と、肩を叩いて、その場を後にする。
 アレクサンドロス王は、ニコっと笑って親指を立てた。

 ランスロット先生とニール先生が、喜ぶ勇樹(ゆうき)を連れて帰ろうとすると、ヘンリー国王が、ランスロット先生を呼び止めた。

「ランスロットよ…後で話がある」
「はい」

 ニール先生は、ランスロット先生を横目で見ながらも、勇樹(ゆうき)の肩をポンポン叩いて「良かったな勇樹(ゆうき)」と、元気付けている。

「ちっ!」

 謁見(えっけん)の場から離れたところから、こちらを見詰める、不穏(ふおん)な影が、舌打ちをしながら去って行く。

 ~夕方~

「やった、やった~!合格だぁ!」
「まあ、何はともあれ合格はした事になるのかな?――ほら、勇樹(ゆうき)念願(ねんがん)のバッチだぞ?」
「はぁぁぁ(目をキラキラさせている)」

 ニール先生が、持っていた英雄アカデミーの卒業の証である、バッチを勇樹(ゆうき)に渡そうとした。
 しかし、次の瞬間(しゅんかん)

「うわぁぁぁ!?」

 突然(とつぜん)煙幕(えんまく)が起こり。
 一瞬の(すき)を付いて、ニール先生のところから、勇樹(ゆうき)拉致(らち)して、謎の集団が彼を連れて行く。

「くっ、なんだ一体!?」
「しまった!――勇樹(ゆうき)!」
「助けて先生~!!」

 その場から、勇樹(ゆうき)拉致(らち)して逃走する。
 ニール先生も追い掛けたが、煙幕(えんまく)に気を取られて、追い付けなかった。

 ~夜のランスロットの自宅の部屋にて~

 自室のベッドに寝そべり、後ろ頭に手を組んで、天井を見上げながら、ボーっする。

「………………」

 ~ランスロットの回想(かいそう)

「ランスロットよ」
「なんです?国王陛下」
「お前の気持ちも分からんでもない、じゃが、勇樹(ゆうき)もお前と同じ、親の愛情(あいじょう)を知らずに育って来たのじゃ」

 ~ランスロットの子供の頃の回想(かいそう)

「「「「ガオォォォ!!」」」」

 黒竜(こくりゅう)ブラックドラゴンが、街の近くにて、大暴れしている。

「離せ!俺の父さんと母さんがまだ戦ってんだ!」

 大泣きしながら暴れる少年ランスロットを、近衛兵(このえへい)の一人が担いで逃げ去る。

「わがままを言うな?――お前が行っても、あの方々の邪魔(じゃま)になるだけだ!」
「父さん母さん、うわぁぁぁん!」

「「「「ガオォォォ!!」」」」

 ~そして現在~

「ランスロット先生!!」
「ランスロット先生!!」
「起きて下さい!」
「ん!?」

 自宅の呼び鈴の音と、ニール先生の呼び掛けに起きて、玄関前(げんかんまえ)で、ニール先生と話す。

「どうしたんですか?――こんな夜遅くに」
「大変です!――勇樹(ゆうき)君が、謎の集団に拉致(らち)されて、連れ去られてしまったんです!」
「なんですって!?」

 勇樹(ゆうき)が、そんな大変な目にあっている時に俺っていうヤツは、

「今、国王陛下にも、ご報告(ほうこく)して、騎士団(きしだん)近衛兵(このえへい)冒険者(ぼうけんしゃ)にも協力してもらって、捜索(そうさく)しています」
「ランスロット先生も早く来て下さい!」
「分かりました!」

 待ってろよ勇樹(ゆうき)、必ず助けてやるからな?