僕たちの恋は、いつだって予想外。~強気で不器用な美少年たちは今日も恋に全力投球……顔面偏差値100超えの6人が織りなす、甘くて痛い初恋の記録~

玲が亮司のクラスに通わなくなってから、亮司は機嫌が悪い。何にでも当たり散らす。

「何だよくそっ。お前らこっち見てんなよ?!」

「……おいおい、坂田落ち着けよ……荒れすぎだし、八つ当たり酷いぞ? 周り迷惑だろ?」

周囲はみな、亮司と玲は付き合っていると思っていた。それも仕方がない。
亮司は『氷の女王』を笑顔にした、言わば王子様なのだ。

もちろん氷が溶けて美しくなった女王は今まで以上にモテる。
さらに、亮司と別れたという噂が広まれば尚更だ。


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「三枝玲さん、話があるんですけど……中庭に来てもらえませんか?」

昼休み、1年生の長身でイケメンの男に玲は呼び出された。

正直、玲は亮司との思い出の多すぎる中庭には行きたくなかった。

「三枝玲さん、俺、入学してからずっと貴方を見てました。
好きだと気付いてから、すぐに行動を起こせば良かった……後悔しました。

坂田さんとは別れたんですよね?ならば俺と付き合ってくれませんか?
俺、坂田さんより良い男ですよ?」

「ぷっ……あはは。なんでみんなそんなに強気なの?? 
確かに君、かっこいいし、少しはまともそう。

けど……ごめんね。
僕は好きな人とじゃなきゃ付き合わない。
それにもっと可愛い子たくさんいるでしょ? 僕、でかいし、可愛くないし、性格悪いし」

「玲さん、手に入れ甲斐がありますね。
俺はあなたみたいに美しくて可愛らしい人見たことないですけど。
必ず手に入れます。

早速なんですけど俺、今日弁当作ってきてます。ここで一緒に食べませんか?」

「君が? ……それくらいなら、良いよ。でも、それ以上はないから。」

1階にある蒼士たちのクラスからは中庭が丸見えだ。蒼士が騒いだ。

「坂田っ!! あれやばいって!! 三枝、他の奴と飯食ってるぞ?!

良いのかよ、お前? しかもあいつ1年のすげーモテる奴だぞ? 

おいっ! 坂田聞いてる?」

亮司は窓の外に目をやって、その光景が信じられなかった。

玲が笑顔で楽しそうに他の男と話しながらお弁当を広げている。中庭のベンチで。

違う!! そこは俺と玲の場所だ!! 
亮司は目の前が真っ白になると、窓を開けて中庭へ飛び出した。教室はざわついた。

「何? どうしたの?」

「坂田くんが窓から飛び出たみたい……」

「あー、あれ見て! 三枝くんが他の男と話してる」

「え? でも確か坂田くんが振ったんだよね? 三枝くんのこと……往生際わる〜い」


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「おいっ! 玲ちゃんっっ! 何してるんだ?! 早くこっちに来いっ!」

玲はピクっとしてその声がする方を振り返った。

「え? なに? 亮司くん……? 何か用……うわあ!」

亮司は玲の側まで行くと、思いっきり抱き寄せた。

「まだ、今日のハグしてない。──なにあんな奴と楽しそうにしてんの?」

「あ……の……ごめん、亮司くん……君が言った通り、僕もうこういうことやめるから、放して。

だいたい僕が誰と仲良くしようが、亮司くんには関係ないでしょ?」 

「お前、本気で言ってんのか? 俺のこと好きだろ?」

「ううん。違う。もう大丈夫。知ってると思うけど、僕諦め早い方だから。

亮司くんはちゃんと彼女大事にしてあげて。
今まで邪魔しちゃってごめんね。

あ、ちゃんとお花世話してるから、心配しないで。それじゃあ」

玲は振り返ると走り出した。
亮司には見えていなかったが、玲の目には涙が溢れて(あふれて)いた。

「玲さん、待って!」

その一年、川口秀平は玲の腕を掴んだ。玲は声を出して泣き始めた。 

「玲さん、あんな奴の為に泣かないで。俺は付き合えなくても良い。側にいさせてください」


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それから毎日昼休み、玲と秀平は一緒に過ごす。
1年生の秀平が2年生の教室に来ると皆騒ぐ。こいつも相当なイケメンだ。理系男子にだってモテるだろう。

──玲はもう亮司のクラスにはやって来ない。代わりに秀平が玲の教室に入り浸った。

「ねぇ、坂田くーん。本当にこれでいいの? 玲くんのこと……坂田くんのこと吹っ切れたなんて、あんなの嘘だよ? 
まだ好きだよ……そんなに簡単じゃないよ……」

「三枝意思強そうだけどさ、弱ってんだから、あの一年に絆されちまうかもよ?」

亮司は答えた。

「──まずいよなぁ。俺……玲ちゃんのこと本気で好きみたい。もう認めるしかない。でもあいつ、男なんだよ……俺はゲイじゃない」

「坂田くんってばかぁ? 僕だってゲイじゃないよっ! 蒼士だってそうでしょ? 僕だって可愛い女の子が好きだし、何なら蒼士の妹さんが好み! でも蒼士好きになったからしょうがないのっ!」

「えっ?! やっぱ実紅のが好きなん?!」

「うるさい! 蒼士は黙って! 坂田くんの心にはいつも誰がいるの? 早く素直にならないと、他の人に攫われちゃうんだからねっ?!」

亮司は頭が真っ白になった。

立ち上がると体が勝手に走り出していた。

「坂田くんがんばれっ!」

「しーきー……実紅が好きなの……女の子がいーのー?」

「蒼士、空気読めないね……
蒼士が好きに決まってるでしょ! 
ほら、僕のこと抱っこして! 
……坂田くんたち上手くいくと良いけど……」


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玲の教室には玲と、秀平二人きりになった。他の生徒はもう下校した後だ。

「玲さん、そろそろ俺と付き合ってくださいよ。大切にしますよ?」

「うん……もう良いのかな。僕、君に甘えても」

「もちろんですっ! 玲さん、抱きしめても良いですか?」

『ガタガターーーーン!!』

「ストーップ!! 玲ちゃん! こっち来い! 今日のハグ!」

玲は亮司の声のする方を振り返った。
目には涙が溢れて(あふれて)きた。

「あっち行ってよ! 亮司くん、一体何しに来たの? 僕はもう良いって言ったよね? 君のこと好きじゃないって……帰って!」

「じゃあ、何で泣いてんだよ? 俺のこと好きだろ? 

──ん……ハグして」

亮司は玲に向かって手を広げた。

「玲ちゃん、今までごめんなさい。酷く扱った。
好きじゃないって言ったのに思わせぶりな態度とったり……

──玲ちゃんがこの世で一番可愛い。俺、玲ちゃんが好きだ。やっとわかったんだよ。
男とか女とかにこだわるなんてバカらしいって。玲ちゃんは男でも女でも玲ちゃんだよ。
女に浮気なんてしない。日和ってたんだ。保険かけたんだ。最低だな俺……

……とにかく、玲ちゃんが好きです。二度と離れたくない。一緒にいてください」

玲は困ったような顔をしてオロオロした。
そして秀平や走ってきた四季の方をチラッと見た。
二人はやれやれといった顔をして言った。

「良かったですね? 玲さん」

「おめでとう、玲くん」

玲は顔をぐしゃぐしゃにしながら泣いて、亮司の胸の中へ飛び込んだ。

「おかえり……俺の玲ちゃん。毎日ハグが出来なくて寂しかった」

「ふぇ……亮司くん……亮司くん……」

「ハァハァハァ……
四季、足マジではぇぇー、さすが俺がリレーで勝てなかっただけのことはあるぜ……
んで、坂田、どうなった?」

「ん、玲ちゃん無事にゲットした。
お前らにも心配かけてごめんな。
もう玲ちゃん絶対に離さないからな?

後、そこの一年、もう玲ちゃん狙うなよ? 俺んだからな!!」

「後一歩だったんですよ? 残念。ですけど、玲さんが幸せなら、それで良いです」

「秀平くん、ありがとう。君に沢山救われたよ。僕友達いないから、これからも仲良くしてくれると嬉しい」

亮司は喚いた(わめいた)。

「駄目っ!! それは許さないっ!! 中里ちゃんと仲良くするのも許せないのにっ!!」

四季と蒼士は眉間に手を当てた。

『ちょー束縛男』 爆誕……

「玲ちゃん、俺の許可なく他の奴と話しちゃ駄目だから……後、他の奴から……ぶつぶつぶつぶつ……」

「玲くん嬉しそうで良かったよ、ね? 蒼士」