「えっ? 葵もファーストキスなの!?」
「葵もってことは陽もか。ごめんね。貴重なファーストキスを奪っちゃって」
「いや、それはいいんだけど……」
「だけど、何?」
「いや、ちょっと意外だった。葵も今までキスしたことがなかったなんて」
「アハハ。こんな世捨て人みたいな女のこと、誰も好きにならんよ」
自虐的に笑う彼女の言葉を、僕は何故だか否定したくなった。
「そんなことないよ。葵は優しいし、普通に可愛いし」
「年下から可愛いなんて、初めて言われたよ。ありがとう」
そう言うと、彼女は再び僕にキスをした。
「これでセカンドキスだね」
「セカンドキスなんて言葉、初めて聞いたよ」
「うん。私も自分で言っておいて、初めて聞いた」
二人の時間が静かに流れる。いつもは夜にしか会っていなかったので、二人して夜が訪れるのを待つ時間が、とても新鮮に感じられた。
「人、増えてきたね」
「場所取りしてた連中が戻ってきてる感じだな」
午後4時を回る頃には、砂浜が人で埋め尽くされるのではないかというぐらいの人口密度になっていた。両隣の団体客に囲まれた僕たちは、少しばかりアウェーの空気感を感じ取る。
「君たち高校生? 何処からきたの?」
右隣の団体客の男性の一人に、突然話しかけられた。
「あっ、僕たちは四日市から来ました。僕が中3で彼女が高3です」
「えっ? 中学生と高校生? 二人だけできたの?」
「はい。そうです」
「親御さんとか心配しない? 大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「そっか、気を付けてね」
男性とのやりとりを終えた僕に対して、彼女がニヤニヤとした顔で見ている。そんな彼女を不思議に思い、僕は問いかける。
「どうしたの?」
「多分、あのおじさん、私たちのことをカップルと思ってるよ」
「ん? 姉弟と思われてるんじゃね? 親御さんとか言ってたし」
「多分、お互いの親御さんって意味だよ。陽が彼女とか言うから」
そう言うと彼女は、クスクスと笑っていた。
「いやあれは、英語で言うところのSheでガールフレンドって意味じゃないよ」
「分かってるよ。でも多分、おじさんはそう解釈したと思うよ」
無意識の領域の発言を指摘されると、途端に気恥ずかしくなる。彼女と一緒にいると、こういう体験が頻繁に起こる。でも不思議と嫌ではない。それは、僕と彼女の間でのみ生じる感情だった。僕はこの辺りから、彼女に対して明確に異性として意識するようになっていった。
「葵もってことは陽もか。ごめんね。貴重なファーストキスを奪っちゃって」
「いや、それはいいんだけど……」
「だけど、何?」
「いや、ちょっと意外だった。葵も今までキスしたことがなかったなんて」
「アハハ。こんな世捨て人みたいな女のこと、誰も好きにならんよ」
自虐的に笑う彼女の言葉を、僕は何故だか否定したくなった。
「そんなことないよ。葵は優しいし、普通に可愛いし」
「年下から可愛いなんて、初めて言われたよ。ありがとう」
そう言うと、彼女は再び僕にキスをした。
「これでセカンドキスだね」
「セカンドキスなんて言葉、初めて聞いたよ」
「うん。私も自分で言っておいて、初めて聞いた」
二人の時間が静かに流れる。いつもは夜にしか会っていなかったので、二人して夜が訪れるのを待つ時間が、とても新鮮に感じられた。
「人、増えてきたね」
「場所取りしてた連中が戻ってきてる感じだな」
午後4時を回る頃には、砂浜が人で埋め尽くされるのではないかというぐらいの人口密度になっていた。両隣の団体客に囲まれた僕たちは、少しばかりアウェーの空気感を感じ取る。
「君たち高校生? 何処からきたの?」
右隣の団体客の男性の一人に、突然話しかけられた。
「あっ、僕たちは四日市から来ました。僕が中3で彼女が高3です」
「えっ? 中学生と高校生? 二人だけできたの?」
「はい。そうです」
「親御さんとか心配しない? 大丈夫?」
「はい。大丈夫です」
「そっか、気を付けてね」
男性とのやりとりを終えた僕に対して、彼女がニヤニヤとした顔で見ている。そんな彼女を不思議に思い、僕は問いかける。
「どうしたの?」
「多分、あのおじさん、私たちのことをカップルと思ってるよ」
「ん? 姉弟と思われてるんじゃね? 親御さんとか言ってたし」
「多分、お互いの親御さんって意味だよ。陽が彼女とか言うから」
そう言うと彼女は、クスクスと笑っていた。
「いやあれは、英語で言うところのSheでガールフレンドって意味じゃないよ」
「分かってるよ。でも多分、おじさんはそう解釈したと思うよ」
無意識の領域の発言を指摘されると、途端に気恥ずかしくなる。彼女と一緒にいると、こういう体験が頻繁に起こる。でも不思議と嫌ではない。それは、僕と彼女の間でのみ生じる感情だった。僕はこの辺りから、彼女に対して明確に異性として意識するようになっていった。



