「なあ、柊木。最近昼どこ行ってんの?」
そんな会話が聞こえてきて、びくりと肩を揺らす。こっそりと柊木がいる方向を見やると、いつも一緒に行動している友人たちに「彼女?」と問い詰められている。
「秘密〜」
「なんだよ、それ! 気になるじゃん!」
「俺の憩いの場だから、他の奴らには教えられねーの」
目が合うと、柊木がニヤッとした。俺は慌てて、視線を逸らす。
柊木のことだから、わざと俺に聞こえるように言ってきたに違いない。
あれから、柊木のおかげもあって、漫画は順調に進んでいる。赤字にいつもビクビク怯えていたけれど、今では意欲的に取り組めていた。
スランプになって悩んでも、柊木が話を聞いて、色々試してくれる。
それによって、真っ暗闇の中でどちらに向かって歩いていけばいいのかわからなくなることが減って、しっかり目的地を決めて歩いて行けるようになっていた。
そういえば、柊木も文芸部の小説を順調に執筆していると言っていた。短編らしいので、近いうちに書き上がるらしいけれど、どんな内容なのか正直気になる。
俺の漫画を柊木は読んでいるんだし、俺だって柊木の小説を読んだっていいよな。
出来上がった作品は文芸部の部室で印刷されて、保管されるらしいので、今度こっそり読みに行こうと思っている。
「今日はカラオケデートにしよう」
放課後、学校の正門を出ると柊木が真面目な顔をして言ってきた。デートって言葉を使われると、ひやりとする。こんな会話を誰かに聞かれたらどうするんだよ。
幸い他の生徒たちの帰宅と時間をずらしたので、周囲には誰もないことが救いだ。
「なんでカラオケ?」
「定番って感じするだろ」
「まあ……そうかもだけど、今ってカラオケとか行くの? 俺、そういうのよくわかんないんだけど」
友達がほとんどいない俺にとって、放課後に遊びに行く場所がどこなのか浮かばない。
「俺は時々誘われたら行くけど」
「柊木がそういうなら、参考になりそうだな。でも、俺なにも歌えないから行っても意味な気もする」
作業用BGMは流すけれど、今流行りの曲は聴かないので歌える曲がない。行ったところで、眺めて終わりだ。
「漫画の参考にするんだから、部屋の空気感とか置いてあるものとか見ておけば?」
「たしかに。メモしておこう」
仕事モードでやる気スイッチが入った俺を見て、柊木がふっと笑う。心臓に悪い笑顔だ。普段教室で無表情でいることが多いから、こういうふとした笑顔の攻撃力が高すぎる。
なんとなく、心を許してもらった特権のようにも感じて、優越感まで抱いてしまう。俺は重症かもしれない。
好きだと気づいても、それ以上を望んでいるわけではないから、無闇に近づかない方がいいのはわかってる。下手に欲が出る前に、距離を置くべきだ。
それでも、柊木が俺に近づいてきてくれるたびに、嬉しさの方が勝ってしまう。
もしも、柊木が俺の気持ちを知ったら引くだろうか。
友達だと思っていたのに、恋愛感情なんて抱かれて気味が悪いと思うかもしれない。
だから、この気持ちは絶対に知られないようにしないと。
そんな会話が聞こえてきて、びくりと肩を揺らす。こっそりと柊木がいる方向を見やると、いつも一緒に行動している友人たちに「彼女?」と問い詰められている。
「秘密〜」
「なんだよ、それ! 気になるじゃん!」
「俺の憩いの場だから、他の奴らには教えられねーの」
目が合うと、柊木がニヤッとした。俺は慌てて、視線を逸らす。
柊木のことだから、わざと俺に聞こえるように言ってきたに違いない。
あれから、柊木のおかげもあって、漫画は順調に進んでいる。赤字にいつもビクビク怯えていたけれど、今では意欲的に取り組めていた。
スランプになって悩んでも、柊木が話を聞いて、色々試してくれる。
それによって、真っ暗闇の中でどちらに向かって歩いていけばいいのかわからなくなることが減って、しっかり目的地を決めて歩いて行けるようになっていた。
そういえば、柊木も文芸部の小説を順調に執筆していると言っていた。短編らしいので、近いうちに書き上がるらしいけれど、どんな内容なのか正直気になる。
俺の漫画を柊木は読んでいるんだし、俺だって柊木の小説を読んだっていいよな。
出来上がった作品は文芸部の部室で印刷されて、保管されるらしいので、今度こっそり読みに行こうと思っている。
「今日はカラオケデートにしよう」
放課後、学校の正門を出ると柊木が真面目な顔をして言ってきた。デートって言葉を使われると、ひやりとする。こんな会話を誰かに聞かれたらどうするんだよ。
幸い他の生徒たちの帰宅と時間をずらしたので、周囲には誰もないことが救いだ。
「なんでカラオケ?」
「定番って感じするだろ」
「まあ……そうかもだけど、今ってカラオケとか行くの? 俺、そういうのよくわかんないんだけど」
友達がほとんどいない俺にとって、放課後に遊びに行く場所がどこなのか浮かばない。
「俺は時々誘われたら行くけど」
「柊木がそういうなら、参考になりそうだな。でも、俺なにも歌えないから行っても意味な気もする」
作業用BGMは流すけれど、今流行りの曲は聴かないので歌える曲がない。行ったところで、眺めて終わりだ。
「漫画の参考にするんだから、部屋の空気感とか置いてあるものとか見ておけば?」
「たしかに。メモしておこう」
仕事モードでやる気スイッチが入った俺を見て、柊木がふっと笑う。心臓に悪い笑顔だ。普段教室で無表情でいることが多いから、こういうふとした笑顔の攻撃力が高すぎる。
なんとなく、心を許してもらった特権のようにも感じて、優越感まで抱いてしまう。俺は重症かもしれない。
好きだと気づいても、それ以上を望んでいるわけではないから、無闇に近づかない方がいいのはわかってる。下手に欲が出る前に、距離を置くべきだ。
それでも、柊木が俺に近づいてきてくれるたびに、嬉しさの方が勝ってしまう。
もしも、柊木が俺の気持ちを知ったら引くだろうか。
友達だと思っていたのに、恋愛感情なんて抱かれて気味が悪いと思うかもしれない。
だから、この気持ちは絶対に知られないようにしないと。
