だから、恋を教えて


……友達、なのか?

ただのクラスメイトというには、秘密を知られているので少し違う気がするけど。

「一応友達みたいなものかもしれない」
「なんだよ、それ」

俺の返答が不満だったらしく、柊木は不機嫌になる。なんで俺のことを構うのかいまだにわからない。

なんでも持っているように見える柊木だから日常に退屈していて、俺といるのが新鮮に感じるのだろうか。

クラスの人たちといる柊木よりも、こうしてふたりでいるときの方が表情は豊かだ。正直俺は、今の柊木の方が好きかもしれない。


「じゃあさ、明日の放課後どっか遊び行く?」
「え、なんで?」

咄嗟に返してしまう。放課後に柊木と外に遊びに行くなんて、想像するだけで注目されそうだ。柊木は立っているだけで目立つ男なのだから。

「三崎がメモしていたやつに、放課後デートって書いてあったから」

そういえば、脳内を整理するためにそんなことを書いたかもしれない。別にそこまで深い意味はないし、わざわざ柊木に付き合ってもらう必要はない。

「甘いもの好き?」
「……好きだけど」
「生クリームは?」
「好き」

俺に質問を投げかけながら、柊木はスマホをいじる。

「最近話題の店が駅の近くにあるらしくてさ」

そう言って、スマホの画面を見せてきた。俺は目を見開き、思わず「あ!」と声をあげてしまう。
うさぎの形をしたクレープで、最近SNSでバズっていたやつだ。アニマルクレープというキッチンカーのクレープ店で、見た目もかわいいし、味も美味しいらしい。行ってみたいけれど、ひとりでは行きづらいと思っていた店だ。

「こういうのも漫画の参考になると思うんだけど、どう?」

目の前の誘惑に息をのむ。柊木といたら目立つだろうし、注目を集めるのは苦手だけど、クレープはすごく興味惹かれる。


「行く? 行かない?」

薄い笑みを浮かべながら、柊木が小首を傾げた。決定権は俺にあるように見せかけて、内心答えがわかっているように感じる。


「……行く」