恋を知りたいというのは本気なのか?と疑いたくなる。
むしろ恋愛のことを知り尽くした遊び人に見えるのは気のせいだろうか。
「……なに?」
睨んでいることを気づかれたらしい。
「慣れてんだな」
ちょっと意地悪な言い方で返してしまった。すると、柊木は目を細めて、口角を上げた。
「そんなによかったってこと?」
「は?」
「だって慣れてるって感じたんだろ?」
俺の耳元まで顔を近づけると、囁いてくる。
「俺、初めてだったのに」
「なっ」
耳に吐息がかかり、俺は慌てて柊木から離れた。
だから、距離が近いんだって! 完全に俺のこと遊んでるだろ!
俺の反応を見て、柊木がクスクスと笑っている。雰囲気が柔らかい。普段からこんなふうに笑っていたら、もっととっつきやすく見えるだろうな。
「で、ときめいた?」
「……びっくりした」
「ふーん、せっかく再現したのに驚いただけか」
びっくりしたのは事実だけど、それ以上に恥ずかしさの方が強い。
ときめきなんてものは俺自身よくわからないけれど、柊木の言動に感情が揺さぶられている。だけど、そんなこと言えるはずがない。
「柊木は?」
ちらりと横目で柊木を見つめる。俺ばっかりが翻弄されているのが悔しい。だから、わざと柊木の耳元で問いかけた。
「ときめいたりすんの?」
