だから、恋を教えて



「彼女とこないだ喧嘩してさ〜、別に女の子と連絡取るくらいよくね?」

周りが話している恋愛の話は、いつも退屈でどうだってよくて、他人事だった。
誰かに対して恋愛感情を抱くという感覚が俺にはわからない。

「てかさ、柊木! こないだの平高の女の子はどうしたんだよ!」
「どうしたって?」

コーヒー牛乳のパックにストローをさす。あ、今日はさす位置成功。銀色の丸い部分からズレることなく綺麗にささって、気分が少し良くなる。

「告白されてただろ! なんて答えたんだよ!」
「付き合えない」

それ以外に言葉がないだろ。周囲から「はあ〜」と呆れたようなため息が聞こえてくる。相手の顔だって初めて見るのに、なんで付き合うと思うんだ。

「付き合ってみたら好きになるかもしれねーじゃんか!」
「興味が湧かないのに付き合えって?」

顔だってもう覚えていない。そんな相手と適当に付き合う方が不誠実だろ。

「てか、腹減ったから飯食う」

妹の手作り弁当をカバンから取り出して、蓋を開けると今日もまたメインはブロッコリーで、隙間を埋めるように人参やら枝豆が入っている。

「相変わらず、すげぇ野菜弁当だな」

友人たちが俺の弁当を覗き込む。妹なりに頑張って作ってくれているから残すこともしたくない。

俺らの家は母親が小学生の頃に病気で亡くなっていて、父は仕事で家を空けがちだ。だから俺らは家事を分担して生活している。弁当は妹が担当で、毎度夜に肉を食べ過ぎだからと昼は野菜づくしにされていた。

「あ、なんだっけ、三崎? あいつの弁当美味そうだよな〜」