2026-05-31
『愛してくれなくても』
深夜1時、スマホが光って通知を知らせてきた。
「なんで本を書くんですか」と連絡が来ている。
観ていた映画を消して、スマホを手に持ち
なんでだろう、と少しばかり悩んでしまう。
「本を書かなくてもあなたは素敵なのに」
「好きです、数年前から応援しています」
本を書かなくても素敵なのにという言葉は
個人的に嬉しい、けど嬉しさだけではない。
「好きなんですね、私もあなたを好きよ」と
当たり障りない返信をしてから続けるように
「でもね、本は書く、買ってくれない?」と
媚びるような言葉を並べてその人に送信した。
映画を消したモニターに自分の顔が映っていて
自分ではないみたいな感覚にふと陥ってしまう。
「買いました、買いましたけど」
そう返信が来て、入力中になる。
喉が渇いてきて、一旦スマホを置き
冷蔵庫からお茶を取り出して飲んだ。
スマホからはまた通知音が聞こえてきて
何かが送られてきたことをすぐに察する。
スマホを覗くと「みんなに愛されるのが嫌です」と
独占欲が強めな言葉が送られてきていて、少し困る。
「本を書こうが、僕は誰にも愛されないよ」
「僕の書いた言葉を誰かが愛してくれるの」
独占欲を少しでも宥めようと思って
そんなことを考えもせずに送信した。
冷蔵庫がうまく閉まっていなかったのか
音を立てて、閉めてほしそうにしている。
また冷蔵庫のほうへと行き、そっと閉めて
そのまま僕はお手洗いへ行って用を足した。
深夜1時半、観ていた映画の内容も薄れていき
そろそろ寝ようかと思ってまたスマホを覗くと。
「私はね、あなたが書くから好きなんです」
「きっと同じ思いの人が他にもいますから」
救われてしまった。
「そんなこと言わないで、泣いちゃうよ」
送信ボタンに指を置いて、押す少し手前。
その人から或る1枚の写真が送られてきた。
最近出した本の、215頁の言葉の写真が。
送信ボタンを押した。
僕は寝室へと移動してベッドに寝転び
読者から送られてくる感想に目を通す。
「この本を書いてくれてありがとうございます」
1つ1つの言葉が僕には輝いて見え
まるで星を眺めている気分になれる。
スマホの上部に通知が表示された。
「泣いていいんじゃないですか、我慢をしすぎです」
「私ね、あなたが頑張っていること知ってますから」
さっき話していた人からの返信だ。

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『愛してくれなくても』
深夜1時、スマホが光って通知を知らせてきた。
「なんで本を書くんですか」と連絡が来ている。
観ていた映画を消して、スマホを手に持ち
なんでだろう、と少しばかり悩んでしまう。
「本を書かなくてもあなたは素敵なのに」
「好きです、数年前から応援しています」
本を書かなくても素敵なのにという言葉は
個人的に嬉しい、けど嬉しさだけではない。
「好きなんですね、私もあなたを好きよ」と
当たり障りない返信をしてから続けるように
「でもね、本は書く、買ってくれない?」と
媚びるような言葉を並べてその人に送信した。
映画を消したモニターに自分の顔が映っていて
自分ではないみたいな感覚にふと陥ってしまう。
「買いました、買いましたけど」
そう返信が来て、入力中になる。
喉が渇いてきて、一旦スマホを置き
冷蔵庫からお茶を取り出して飲んだ。
スマホからはまた通知音が聞こえてきて
何かが送られてきたことをすぐに察する。
スマホを覗くと「みんなに愛されるのが嫌です」と
独占欲が強めな言葉が送られてきていて、少し困る。
「本を書こうが、僕は誰にも愛されないよ」
「僕の書いた言葉を誰かが愛してくれるの」
独占欲を少しでも宥めようと思って
そんなことを考えもせずに送信した。
冷蔵庫がうまく閉まっていなかったのか
音を立てて、閉めてほしそうにしている。
また冷蔵庫のほうへと行き、そっと閉めて
そのまま僕はお手洗いへ行って用を足した。
深夜1時半、観ていた映画の内容も薄れていき
そろそろ寝ようかと思ってまたスマホを覗くと。
「私はね、あなたが書くから好きなんです」
「きっと同じ思いの人が他にもいますから」
救われてしまった。
「そんなこと言わないで、泣いちゃうよ」
送信ボタンに指を置いて、押す少し手前。
その人から或る1枚の写真が送られてきた。
最近出した本の、215頁の言葉の写真が。
送信ボタンを押した。
僕は寝室へと移動してベッドに寝転び
読者から送られてくる感想に目を通す。
「この本を書いてくれてありがとうございます」
1つ1つの言葉が僕には輝いて見え
まるで星を眺めている気分になれる。
スマホの上部に通知が表示された。
「泣いていいんじゃないですか、我慢をしすぎです」
「私ね、あなたが頑張っていること知ってますから」
さっき話していた人からの返信だ。

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