彼女は近くにいた涼太を見つめ、嬉しそうに微笑んでいる。涼太はドン引きし、持っていた漫画を落とした。
佐伯は口をあんぐりと開け、目を点にした。人は脳みそが処理できないと、思考が停止するのだと知った。
それからというもの、佐伯の二次元肯定派に拍車がかかった。
二次元のBLは神聖だが、三次元にそれを持ち込む奴は全員敵だ。という過激なものだった。
「そんなことより、涼太。今の陽向君との距離、詰めようか……不自然だなぁ。もっと……密にならないと、この世界には居られないよ?」
涼太が中学の時のことを思い出していると、佐伯は無機質に微笑んだ。しかしその瞳の奥には、ギラギラとしたものを感じた。
佐伯の彼氏は、佐伯を抱きしめた。二人をギロっと睨み、舌打ちをしていた。
彼氏と仲良くしているのを嫉妬し、過激な反応を見せている。二人は顔を見合わせて、身震いした。
両手で自分の両腕を掴み、体を小刻みに震わしていた。涼太は佐伯と一緒にいると、おかしくなると感じた。
何も言わずに、震えている陽向の手を掴んだ。彼は驚いていたが、頬を染めていた。
二人は逃げるように、その場を後にした。その様子を見て、佐伯は満足そうに微笑んでいた。
「だあ! あいつ、何考えてんだ!」
「本当だよな……はあ」
「で? これから、どうすんだ」
「さあ?」
「さあ……って! 何も策がないのかよっ!」
「あるわけないだろ。この世界が夢なのか、現実なのか……分からないし」
「確かにな……こんなことなら、佐伯の野郎の頬を叩けばよかった」
「ほどほどにな……」
二人は廊下に出ると、先に陽向が耐えきれなくなったようだ。涼太はその様子を見つめ、静かにため息をついた。
陽向は後頭部を掻きながら、涼太に全てを一任するように質問する。しかし涼太にも、分かるはずがないのだ。
首を傾げ、その問いに答える。陽向は憤慨するが、その後の言葉に納得したようだった。
決まり悪そうにして、佐伯のことを思い出した。教室のドアを見つめ、睨みつけていた。
目が悪いため、視界はボヤけてはいる。サッカーをする時以外は、メガネをかけていないのである。
両手の拳を合わせ、何度も叩いている。その様子を見て、涼太は呆れたように声をかけた。
「さてと、ここにいてもな〜目のやり場に困るし」
「言うなよ……目を背けていたのに」
「とにかく行こうぜ。探索だっ!」
「おまっ! 何考えて!」
「じゃあ、陽向くんは〜ここにいて何かいい案が浮かぶのか〜」
「それは…………ないっ!」
「……偉そうに言うなよ」
涼太は周りを見渡し、男同士のカップルを見つめる。周りの生徒たちの声が、多重録音のように重なって聞こえた。
イチャついている生徒たちの手の動きが、左右対称で不気味だった。
その様子を見て、身震いした。陽向に声をかけると、彼は顔を真っ赤にしていた。
右手で顔を覆い、俯いてしまった。その様子を見つめ、涼太は一際明るい声を出した。
すると陽向はいつも通りに、涼太にツッコみを入れていた。普段なら、無鉄砲は陽向だった。
しかし涼太は、自分まで落ち込むわけにはいかない。そのため震える気持ちを抑え、ヘラヘラ笑っている。
陽向もそれが分かっているため、いつも以上にテンションを高くしている。
涼太は不敵な笑みを浮かべ、呆れたように笑っていた。だけど二人はいつものように、元気そうに微笑んでいた。
「……何かの罠か? 陽向、あまり動かないように……もう遅いか」
「キッチンがあるぞ! ……パンがあるじゃないかっ! 美味っ!」
「腹、空いてんのか」
「だってよ……何時間経っているか知らんが、夕飯少なかっただろ」
「一人で五人前は食っていただろ。俺の唐揚げまで、食っておいて」
「……過去は振り返らないんだ」
「あーはいはい……美味いな」
二人は階段を使い上の階へと上がり、家庭科室を発見した。その隣には、かなり大きめのキッチンまで準備されている。
高校というよりは、大きな寮みたいな施設に思えた。テーブルも椅子も、生徒の数があるように思えた。
まるで三階全てが、食堂のようになっている。涼太は一つ一つを慎重に、吟味している。
罠があるかもしれないし、何か仕込まれているかもしれない。神妙な面持ちで、辺りを見渡している。
それとは対象的に、陽向は子供のようにはしゃいでいた。キッチンの中を走り回り、冷蔵庫や棚を漁っている。
中には高校とは思えないほどの食料や、インスタントの麺まで常備されている。
設備も一流で、業務用のレベルを超越している。パンを見つめ、疑いもせずに食べていた。
涼太は呆れながらも、陽向に近づいた。野生児かよと、彼を見つめていた。
心の中で安堵しつつも、的確にツッコみを入れている。彼は一瞬、考えてから目を逸らし告げていた。
涼太は適当に相槌を打ち、一緒にパンを頬張った。涼太も空腹には、抗えなかった。
「おい。なんだ、それ」
「は? ミッション?」
無駄に設備の整ったキッチンを出て、保健室体育館などに向かった。しかし何処も普段と変わらないようで、教室へと向かった。
行く当てもない二人は、ここしか見当がつかなかった。中には誰もおらず、もぬけの殻だった。
それが返って、不気味で身震いしてしまう。お互いに勘付かれないように、平然を装っていた。
陽向はドカっと適当に椅子に座ると、涼太もその前に座った。
涼太は涼しい顔をし、陽向は欠伸をしている。机の上には、見知らぬ紙が置かれていた。
「ミッションを六つ完了しないと、この世界からは抜け出せない。最終目標は、本気でお互いに想い合うこと」
「はあ? なんだそれ」
涼太がミッションの紙を手に取り、静かに読み上げた。すると陽向は、眉を顰め低い声を出していた。
涼太は深いため息をつき、彼を見つめている。陽向は涼太の様子に気がつかずに、唇を尖らせていた。
頬を染めて、ミッションの紙を見つめていた。涼太は彼の口元を見つめ、生唾を飲み込んだ。
頬を染めて、静かに目を逸らした。二人はお互いの顔を見られずに、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「二人とも、何してるの? 早く、ミッションの内容確認しないと」
「うわっ! いつの間に! ふざけんな!」
「急に! 何言ってやがる!」
「元の世界の二人はまだ祠の前で倒れており、ここで死ねばあちらでも死ぬ」
佐伯は口をあんぐりと開け、目を点にした。人は脳みそが処理できないと、思考が停止するのだと知った。
それからというもの、佐伯の二次元肯定派に拍車がかかった。
二次元のBLは神聖だが、三次元にそれを持ち込む奴は全員敵だ。という過激なものだった。
「そんなことより、涼太。今の陽向君との距離、詰めようか……不自然だなぁ。もっと……密にならないと、この世界には居られないよ?」
涼太が中学の時のことを思い出していると、佐伯は無機質に微笑んだ。しかしその瞳の奥には、ギラギラとしたものを感じた。
佐伯の彼氏は、佐伯を抱きしめた。二人をギロっと睨み、舌打ちをしていた。
彼氏と仲良くしているのを嫉妬し、過激な反応を見せている。二人は顔を見合わせて、身震いした。
両手で自分の両腕を掴み、体を小刻みに震わしていた。涼太は佐伯と一緒にいると、おかしくなると感じた。
何も言わずに、震えている陽向の手を掴んだ。彼は驚いていたが、頬を染めていた。
二人は逃げるように、その場を後にした。その様子を見て、佐伯は満足そうに微笑んでいた。
「だあ! あいつ、何考えてんだ!」
「本当だよな……はあ」
「で? これから、どうすんだ」
「さあ?」
「さあ……って! 何も策がないのかよっ!」
「あるわけないだろ。この世界が夢なのか、現実なのか……分からないし」
「確かにな……こんなことなら、佐伯の野郎の頬を叩けばよかった」
「ほどほどにな……」
二人は廊下に出ると、先に陽向が耐えきれなくなったようだ。涼太はその様子を見つめ、静かにため息をついた。
陽向は後頭部を掻きながら、涼太に全てを一任するように質問する。しかし涼太にも、分かるはずがないのだ。
首を傾げ、その問いに答える。陽向は憤慨するが、その後の言葉に納得したようだった。
決まり悪そうにして、佐伯のことを思い出した。教室のドアを見つめ、睨みつけていた。
目が悪いため、視界はボヤけてはいる。サッカーをする時以外は、メガネをかけていないのである。
両手の拳を合わせ、何度も叩いている。その様子を見て、涼太は呆れたように声をかけた。
「さてと、ここにいてもな〜目のやり場に困るし」
「言うなよ……目を背けていたのに」
「とにかく行こうぜ。探索だっ!」
「おまっ! 何考えて!」
「じゃあ、陽向くんは〜ここにいて何かいい案が浮かぶのか〜」
「それは…………ないっ!」
「……偉そうに言うなよ」
涼太は周りを見渡し、男同士のカップルを見つめる。周りの生徒たちの声が、多重録音のように重なって聞こえた。
イチャついている生徒たちの手の動きが、左右対称で不気味だった。
その様子を見て、身震いした。陽向に声をかけると、彼は顔を真っ赤にしていた。
右手で顔を覆い、俯いてしまった。その様子を見つめ、涼太は一際明るい声を出した。
すると陽向はいつも通りに、涼太にツッコみを入れていた。普段なら、無鉄砲は陽向だった。
しかし涼太は、自分まで落ち込むわけにはいかない。そのため震える気持ちを抑え、ヘラヘラ笑っている。
陽向もそれが分かっているため、いつも以上にテンションを高くしている。
涼太は不敵な笑みを浮かべ、呆れたように笑っていた。だけど二人はいつものように、元気そうに微笑んでいた。
「……何かの罠か? 陽向、あまり動かないように……もう遅いか」
「キッチンがあるぞ! ……パンがあるじゃないかっ! 美味っ!」
「腹、空いてんのか」
「だってよ……何時間経っているか知らんが、夕飯少なかっただろ」
「一人で五人前は食っていただろ。俺の唐揚げまで、食っておいて」
「……過去は振り返らないんだ」
「あーはいはい……美味いな」
二人は階段を使い上の階へと上がり、家庭科室を発見した。その隣には、かなり大きめのキッチンまで準備されている。
高校というよりは、大きな寮みたいな施設に思えた。テーブルも椅子も、生徒の数があるように思えた。
まるで三階全てが、食堂のようになっている。涼太は一つ一つを慎重に、吟味している。
罠があるかもしれないし、何か仕込まれているかもしれない。神妙な面持ちで、辺りを見渡している。
それとは対象的に、陽向は子供のようにはしゃいでいた。キッチンの中を走り回り、冷蔵庫や棚を漁っている。
中には高校とは思えないほどの食料や、インスタントの麺まで常備されている。
設備も一流で、業務用のレベルを超越している。パンを見つめ、疑いもせずに食べていた。
涼太は呆れながらも、陽向に近づいた。野生児かよと、彼を見つめていた。
心の中で安堵しつつも、的確にツッコみを入れている。彼は一瞬、考えてから目を逸らし告げていた。
涼太は適当に相槌を打ち、一緒にパンを頬張った。涼太も空腹には、抗えなかった。
「おい。なんだ、それ」
「は? ミッション?」
無駄に設備の整ったキッチンを出て、保健室体育館などに向かった。しかし何処も普段と変わらないようで、教室へと向かった。
行く当てもない二人は、ここしか見当がつかなかった。中には誰もおらず、もぬけの殻だった。
それが返って、不気味で身震いしてしまう。お互いに勘付かれないように、平然を装っていた。
陽向はドカっと適当に椅子に座ると、涼太もその前に座った。
涼太は涼しい顔をし、陽向は欠伸をしている。机の上には、見知らぬ紙が置かれていた。
「ミッションを六つ完了しないと、この世界からは抜け出せない。最終目標は、本気でお互いに想い合うこと」
「はあ? なんだそれ」
涼太がミッションの紙を手に取り、静かに読み上げた。すると陽向は、眉を顰め低い声を出していた。
涼太は深いため息をつき、彼を見つめている。陽向は涼太の様子に気がつかずに、唇を尖らせていた。
頬を染めて、ミッションの紙を見つめていた。涼太は彼の口元を見つめ、生唾を飲み込んだ。
頬を染めて、静かに目を逸らした。二人はお互いの顔を見られずに、ただ呆然と立ち尽くしていた。
「二人とも、何してるの? 早く、ミッションの内容確認しないと」
「うわっ! いつの間に! ふざけんな!」
「急に! 何言ってやがる!」
「元の世界の二人はまだ祠の前で倒れており、ここで死ねばあちらでも死ぬ」

