誘われて事故物件に暮らしはじめました。

思えば人を鏡の中に引きずり込むほどの力がある霊がこの部屋にいながら、昨日ここへ来た時にはなにも感じなかったのだ。
それも、もしかしたらトモの存在が大きく関係しているのかもしれない。
「どうしたん?」
ひとりで考え事をしていたらなにか話を振られていたようで我に返った。
「ごめん、聞いてなかった」
「だからさ、もしもトモがいなかったらどうなっていたかって質問をしたんだよ」
アキトに言われて咄嗟に自分の体を両手で抱きしめていた。
「それは……ちょっと想像したくないです」
あのまま鏡の中に引きずり込まれていたら、僕もこの部屋で死んだ1人にカウントされていただろう。