誘われて事故物件に暮らしはじめました。

氷のように冷たくてぬめりを帯びているその感触に全身が粟立つのを感じる。
何百匹という小さな虫が体中を縦横無尽に這いまわり、僕の体内にまで入り込もうとしているような不快感に吐き気が込み上げてきてその場に膝をついた。
その瞬間後ろを振り向いて見てしまった。
鏡の中から伸びてきた黒い人影が僕の右手をしっかりと掴んでいる。
その手は僕を鏡の中に引きずり込もうとグイグイ力を込めてくる。
頭がグラリと揺れる強い眩暈に立ち上がることができない。
このままじゃ引きずりこまれる!!
そう思った瞬間だった。
「トモ!!」
無意識の内にトモの名前を叫んでいた。