誘われて事故物件に暮らしはじめました。

「昔ここでは余命宣告をされた男性が自殺していて、その親族が医者が判断を謝ったせいだと言って刃物を持って乗り込んできたんだ」
淡々と続く説明に僕はジリジリと後ずさりをする。
こんな強烈ないわくつきの廃病院で野宿なんてできるわけがない。
「大丈夫やでレン」
青ざめる僕のそばに立ってトモが言った。
そしてギュッと抱きしめてくる。
寒気がスッと消えて行き、空気が軽くなる。
気が付けば全身の力が抜けていた。
「オレが一緒やから、どこへでも行ける。このお守りもあるしな」
首から下げたお守りのおかげか、お寺から帰ってきてから部屋での怪奇現象もすっかり鳴りを潜めていた。