誘われて事故物件に暮らしはじめました。

「トモ、トモ」
必死に名前を呼ぶけれどトモはキツク目を閉じたままで動かない。
この赤ん坊はトモの生気を吸い取っているのかもしれない。
「なんで、こんな……こんなのがいるなんて、聞いてない!」
恐怖で体がすくんで動けない。
ボロボロと両目から涙が溢れだしてとまらない。
いっそこれが夢だったなら。
滲んだ視界の先にある世界が、現実でなければいいのに。
赤ん坊はギャアギャア泣きながらその体をくねらせ始めた。
普通サイズだった体がぐんぐん大きく伸びていき、あっという間に天井に頭が届くほどの大きさになった。
化け物だ……。
真っ黒な影の固まりが怒号のような泣き声を響かせている。