誘われて事故物件に暮らしはじめました。

珍しく寝坊してしまった僕はやむ負えずグラウンドを突っ切ることになったのだ。
視線を合わせなければ大丈夫。
そう思って自分の足元だけを見て走った。
砂埃がグラウンドに舞い上がり、今自分がどこを走っているのか一瞬見失いそうになる。
チラリと顔を上げて校舎の位置を確認してまた走る。
そして彼女の真横へ差し掛かったときだった。
『私も教室へ連れてって』
そんな声が聞こえてきて足がとまった。
早く教室へ行かないと遅刻してしまうのに、もう一歩も前に進むことができなかった。
全身がガクガク震えてとまらない。
真横から感じる強い視線に首だけが壊れたおもちゃみたいに動き出した。
彼女の顔が見えた。