誘われて事故物件に暮らしはじめました。

僕は今浴室に背中を向けて座っているのだけれど、その背中に強い冷気を感じている。
また、でてきた。
そう思って勢いよく振り返る。
振り返った瞬間浴室のドアから半身をのぞかせている影と目が合った。
影は全身真っ黒だけれど、こちらを見ていることがなぜか理解できた。
「……っ!」
悲鳴が喉の奥に張り付く、ヒューヒューと喉が鳴り牛乳が入っているグラスを床に落としてしまった。
絨毯の上にジワリとシミが広がっていく。
僕は這うようにして寝室のドアへと向かう。
「ト、トモ……」
声が震えて思うように言葉が出てこない。
情けないくらいに体全体が震えている。