誘われて事故物件に暮らしはじめました。

布団から両手を突き出して必死に影を押し返す。
しかし影も負けてはいない。
強い力で再度僕の首を締めようとしてくる。
力技になると僕に勝算はないといっても過言じゃない。
グイグイと締め付けてくる両手に意識が遠のきそうになる。
このままじゃまずい……。
そう思った瞬間だった。
玄関の方でガチャガチャと慌ただしく鍵を回す音が聞こえてきたかと思うと「なにしてんねん!!」という怒号と共にトモが寝室に入ってきた。
僕が事態を把握するよりも早くトモは僕へ向けて両手を突き出してきた。
そして気が付けた僕はトモの腕の中にすっぽりと包み込まれていて、消えていた電気が明々とついていたのだ。
「あ……トモ?」