誘われて事故物件に暮らしはじめました。

そこまで考えたとき、額に浮かんできた汗が頬をつたって落ちてきた。
カップに入っていた氷はすでに溶けて水になり、薄まったコーヒーはひどくまずい。
このままじゃ熱中症になって倒れてしまう。
とにかく移動しないと。
ベンチから重たい腰を浮かせて公園の出口へと歩きながら、どこへ向かおうかと考える。
このまま実家へ帰るか、それとも……。
僕の足が自然と駅へと向かい始めたとき、不意に今朝トモが抱きしめてくれた感触を思い出した。
骨ぼったくて男らしい二の腕が僕の体を包み込んだ。
その瞬間、一瞬だけでも確かに僕の中から恐怖心が消えたんだ。
トモのプラスのエネルギーが悪い者たちを僕から遠ざけてくれる。