誘われて事故物件に暮らしはじめました。

その後この部屋で亡くなった人たちがみんな鏡の中に連れ込まれてしまったとは思わないが、もしかしたらひとりくらいはそうやって魂だけ抜かれた人もいるかもしれない。
僕はズボンのポケットにスマホを突っ込んで大慌てで部屋を飛び出したのだった。

☆☆☆

怪しきものに近づかず。
が、僕のモットーだ。
それは生きている人間でも死者でも同じことだった。
わざわざ面倒事になりそうなことに自分から首を突っ込んでいく必要などどこにもない。
平穏無事な日常を選ぶのは間違ったことじゃない。
「あ~あ、なにしてんだろ」
コンビニでカップのアイスコーヒーを購入した僕はアパートの近くにある小さな公園のベンチに座っていた。