誘われて事故物件に暮らしはじめました。

撮影機材はちゃんとしたものをアキトたちが所持しているので、トモが普段使っている小型カメラはクローゼットの中だ。
「おかずの作り置きは全部冷蔵庫の中やから。それと、甘いもんもいくらか買うてあるし、あとは――」
「もう大丈夫だから」
食べ物の心配ばかりをするトモに呆れ顔になりつつ玄関先まで見送ると、不意にトモが両手を差し出してきた。
「え?」
とキョトンとした顔の僕をトモは一度ギュッと抱きしめると「魔除けのおまじない」と、いたずらっ子みたいな表情で言い、出て行った。