誘われて事故物件に暮らしはじめました。



8月上旬の大学内は生徒の姿はまばらで中庭のベンチにひとりで座る僕の額には汗の粒が浮かんできていた。
昨日から大学は長い夏休み期間に突入しているのだけれど、僕は昨日講師に渡し忘れてしまったレポートを持ってやってきていた。
とはいえその予定もすでに終わっていて、こうしてダラダラと中庭で時間を潰しているのはせっかく出てきたのにすぐ帰るのはなんだかもったいないような気がしたからだった。
これから友人と約束があるわけでもないし、サークルやアルバイトに精を出すわけでもない。
そんな僕を見て母親と父親は日頃から不服そうな表情を浮かべている。