「まずは、廃屋の霊のことを調べてみますか」
「はい!」
食べ終えたゴミを片付けて、テーブルの上にパソコンを開く。市内で起きた事件や事故について検索を絞っていく。
パーツが何一つわからない状態だ。いつ、どこで、なにがあって。一つずつ探す必要がある。唯一の手がかりはあの廃屋。そして、畦道に供えられた花。
俺はこの街が地元じゃないし、土地勘は矢橋先輩の方があるけど、調べるには情報が多すぎる。
「あの辺、少ないけど民家もありますよね。周りの人からの聞き込みの方が参考に……」
画面を見つめていた先輩に視線を移すと、頬を流れる大量の涙。
「え!? ど、どうしました!?」
「……っ、うっ、うう、なんて痛ましい事件ばかりなんだ。どうして、なんで。怖かったよなぁ、痛かったよなぁ、憎いよなぁ」
先輩の身体からゾゾゾと、おぞましい黒い影のようなものが湧き上がってくるのが見える気がして、俺はブワッと全身が粟立つ。
やばい。道路に横たわる猫一匹にすら同情する人に、こんなに大量の悲しい事件や事故の情報を見せるなんて、自殺行為だった。
ホラー映画なら、まだ作り話も多いし実話を謳ってなければここまで入り込むこともないのかもしれないけど、今見ているのは全部現実に起きた事件や事故だ。実際の現場もあるし内容も生々しい。
「先輩っ! いったん辞めましょう!」
また別の霊にでも取り憑かれたら、それだって危険だ。
俺は急いでパソコンを閉じて先輩を抱きしめた。
「出ていけ! 出ていけ!」
もうすでにナニかが来ているなら今すぐ出ていけ。俺にはなにも感じ取ることは出来ないけど、夢中になって叫ぶ。
冷たくなりかけていた先輩の体温が、徐々にあたたかさを取り戻していく。
ホッとして先輩から離れると、青白かった顔に赤みがさしている。徐々に、頬から耳まで、真っ赤になっていく矢橋先輩の顔に驚いてしまった。
「え、あ、すみませんっ」
とっさに抱きしめてしまったことに、俺まで恥ずかしくなる。前もこうやって先輩のことを取り戻したから、つい反射的に無意識だった。
よく考えれば、大胆なことをしていると自覚した途端に、一気に俺まで顔に熱が上がってくる。
「千羽くんまで照れないで。ますます……照れる」
先輩の細く長い大きな手が口元を隠す。隠しきれない目元は困ったようにそっぽを向いた。
「……情報は俺がスマホで見ますから! と、とりあえず、出かけましょう」
恥ずかしさに居た堪れなくなり、もしかしたらもう、花を供えに誰かが来ているかもしれないと、立ち上がった。
「はい!」
食べ終えたゴミを片付けて、テーブルの上にパソコンを開く。市内で起きた事件や事故について検索を絞っていく。
パーツが何一つわからない状態だ。いつ、どこで、なにがあって。一つずつ探す必要がある。唯一の手がかりはあの廃屋。そして、畦道に供えられた花。
俺はこの街が地元じゃないし、土地勘は矢橋先輩の方があるけど、調べるには情報が多すぎる。
「あの辺、少ないけど民家もありますよね。周りの人からの聞き込みの方が参考に……」
画面を見つめていた先輩に視線を移すと、頬を流れる大量の涙。
「え!? ど、どうしました!?」
「……っ、うっ、うう、なんて痛ましい事件ばかりなんだ。どうして、なんで。怖かったよなぁ、痛かったよなぁ、憎いよなぁ」
先輩の身体からゾゾゾと、おぞましい黒い影のようなものが湧き上がってくるのが見える気がして、俺はブワッと全身が粟立つ。
やばい。道路に横たわる猫一匹にすら同情する人に、こんなに大量の悲しい事件や事故の情報を見せるなんて、自殺行為だった。
ホラー映画なら、まだ作り話も多いし実話を謳ってなければここまで入り込むこともないのかもしれないけど、今見ているのは全部現実に起きた事件や事故だ。実際の現場もあるし内容も生々しい。
「先輩っ! いったん辞めましょう!」
また別の霊にでも取り憑かれたら、それだって危険だ。
俺は急いでパソコンを閉じて先輩を抱きしめた。
「出ていけ! 出ていけ!」
もうすでにナニかが来ているなら今すぐ出ていけ。俺にはなにも感じ取ることは出来ないけど、夢中になって叫ぶ。
冷たくなりかけていた先輩の体温が、徐々にあたたかさを取り戻していく。
ホッとして先輩から離れると、青白かった顔に赤みがさしている。徐々に、頬から耳まで、真っ赤になっていく矢橋先輩の顔に驚いてしまった。
「え、あ、すみませんっ」
とっさに抱きしめてしまったことに、俺まで恥ずかしくなる。前もこうやって先輩のことを取り戻したから、つい反射的に無意識だった。
よく考えれば、大胆なことをしていると自覚した途端に、一気に俺まで顔に熱が上がってくる。
「千羽くんまで照れないで。ますます……照れる」
先輩の細く長い大きな手が口元を隠す。隠しきれない目元は困ったようにそっぽを向いた。
「……情報は俺がスマホで見ますから! と、とりあえず、出かけましょう」
恥ずかしさに居た堪れなくなり、もしかしたらもう、花を供えに誰かが来ているかもしれないと、立ち上がった。



