「またか……」
燈次郎が自室で読書していると、道蓮がウンザリしている様子で手紙の束を見ていた。
「どうしたんだい?」
問いかけると道蓮は手紙の封筒を見せてくる。
そこには
【蘆屋 道蓮様へ♥】
【愛しの蘆屋 道蓮様へ】
【蘆屋 道蓮様(好きです)】
と書かれた、大量の恋文だったのだ。
しかも差出人が全員違う!
とてつもなくモテていた……!
無理もない。
道蓮は背も高く、顔立ちも精悍な美丈夫な上に、皇都では鬼退治で有名なのだ。
声は落ち着く低音でいて、美しい。
しかも陰陽學寮では成績もトップクラス!(ヲ組だが)
むしろモテないわけがない。
しかし道蓮はブツブツ言っている。
「昔からだ! 灯子からの文かとウキウキして見てみれば、全部違う!」
そうして赤い巾着を取り出すと「灯子……」と、また、しんみりしていた。
「道蓮さん……」
声をかけつつも、手紙がくるたびにウキウキしてたんだ……と燈次郎はキュンとした。
が、御霊府君が具現化して怒鳴る。
『ふん! モテ自慢なぞ同性から最も嫌われる行為ぞ! おなごにキャッキャ言われる俺カッケェ~と自分に酔うでないわ! 阿呆が!』
「酔ってないし、カッケェーなどと考えてもいない! 俺は灯子一筋だ! 勝手なことを言うな! おい! 燈次郎! この式神の下品さ、何とかならないのか!」
『誰が下品じゃ! この小童が! それに燈次郎はいつでも儂の味方じゃ! 莫ー迦莫ー迦!』
子供がしそうなケンカをする道蓮と御霊府君に燈次郎は額を押さえつつ、とりあえず止めた。
「ま、まぁ、それだけ道蓮さんが有名なら、陰陽學寮の来年度の入学生も増えるかもね! 式神様も、人間だったら恋文いっぱいもらってるくらい綺麗だから大丈夫ですよ!」
双方に無難~な話題を振ったが、まだ道蓮と御霊府君は喧々囂々やっている。
もう放っておこうかな……と、燈次郎はコソコソとベッドに座り込む。
二人は散々やりあった後に、御霊府君は不貞寝するし(燈次郎のベッドで)道蓮は文を書き始めた。
それを燈次郎は覗き込んで問いかける。
「返信を書いてるのかい?」
「……ああ。返事がこない文を待つ辛さは、知ってるつもりだからな」
そう言いながら一通一通、丁寧に返信を書いていた。
(道蓮様……)
改めて道蓮の誠実な人柄に触れ、燈次郎は頬を染める。
「な、なんだ? なんでそんなに赤い顔をしてるんだ?」
道蓮に気づかれ、慌てて頬を隠す。
どう理由をつけようかと悩んでいると、御霊府君が口出ししてきた。
『ふん! 恥ずかしい台詞を臆面もなく吐く、うぬに燈次郎が耐え切れずに赤面しただけじゃ! 勘違いするでないわ!』
「別に恥ずかしい台詞でもないし、何の勘違いだ!」
嗚呼、また始まった……と燈次郎が頭を抱える中、返信の束の中に【燈次郎へ】と書かれた文が混ざっているのに気づく。
「これ……」
燈次郎が指さすと、道蓮が照れたように目を逸らした。
「……お前には、いつも世話になってるからな。礼の文くらいは書いた方がいいと思ったんだ」
「道蓮さん……!」
感動していると、御霊府君が燈次郎の机に座り、紙を探しだした。
『ふん! 燈次郎の気を惹こうと、浅ましい真似を!』
そう言いながら御霊府君は紙に墨で燈次郎の似顔絵を描きだした。
【燈次郎へ いつも頑張っておるな】と誉め言葉も添えて。
そんな二人の優しさに燈次郎は胸が温かくなるのであった。
燈次郎が自室で読書していると、道蓮がウンザリしている様子で手紙の束を見ていた。
「どうしたんだい?」
問いかけると道蓮は手紙の封筒を見せてくる。
そこには
【蘆屋 道蓮様へ♥】
【愛しの蘆屋 道蓮様へ】
【蘆屋 道蓮様(好きです)】
と書かれた、大量の恋文だったのだ。
しかも差出人が全員違う!
とてつもなくモテていた……!
無理もない。
道蓮は背も高く、顔立ちも精悍な美丈夫な上に、皇都では鬼退治で有名なのだ。
声は落ち着く低音でいて、美しい。
しかも陰陽學寮では成績もトップクラス!(ヲ組だが)
むしろモテないわけがない。
しかし道蓮はブツブツ言っている。
「昔からだ! 灯子からの文かとウキウキして見てみれば、全部違う!」
そうして赤い巾着を取り出すと「灯子……」と、また、しんみりしていた。
「道蓮さん……」
声をかけつつも、手紙がくるたびにウキウキしてたんだ……と燈次郎はキュンとした。
が、御霊府君が具現化して怒鳴る。
『ふん! モテ自慢なぞ同性から最も嫌われる行為ぞ! おなごにキャッキャ言われる俺カッケェ~と自分に酔うでないわ! 阿呆が!』
「酔ってないし、カッケェーなどと考えてもいない! 俺は灯子一筋だ! 勝手なことを言うな! おい! 燈次郎! この式神の下品さ、何とかならないのか!」
『誰が下品じゃ! この小童が! それに燈次郎はいつでも儂の味方じゃ! 莫ー迦莫ー迦!』
子供がしそうなケンカをする道蓮と御霊府君に燈次郎は額を押さえつつ、とりあえず止めた。
「ま、まぁ、それだけ道蓮さんが有名なら、陰陽學寮の来年度の入学生も増えるかもね! 式神様も、人間だったら恋文いっぱいもらってるくらい綺麗だから大丈夫ですよ!」
双方に無難~な話題を振ったが、まだ道蓮と御霊府君は喧々囂々やっている。
もう放っておこうかな……と、燈次郎はコソコソとベッドに座り込む。
二人は散々やりあった後に、御霊府君は不貞寝するし(燈次郎のベッドで)道蓮は文を書き始めた。
それを燈次郎は覗き込んで問いかける。
「返信を書いてるのかい?」
「……ああ。返事がこない文を待つ辛さは、知ってるつもりだからな」
そう言いながら一通一通、丁寧に返信を書いていた。
(道蓮様……)
改めて道蓮の誠実な人柄に触れ、燈次郎は頬を染める。
「な、なんだ? なんでそんなに赤い顔をしてるんだ?」
道蓮に気づかれ、慌てて頬を隠す。
どう理由をつけようかと悩んでいると、御霊府君が口出ししてきた。
『ふん! 恥ずかしい台詞を臆面もなく吐く、うぬに燈次郎が耐え切れずに赤面しただけじゃ! 勘違いするでないわ!』
「別に恥ずかしい台詞でもないし、何の勘違いだ!」
嗚呼、また始まった……と燈次郎が頭を抱える中、返信の束の中に【燈次郎へ】と書かれた文が混ざっているのに気づく。
「これ……」
燈次郎が指さすと、道蓮が照れたように目を逸らした。
「……お前には、いつも世話になってるからな。礼の文くらいは書いた方がいいと思ったんだ」
「道蓮さん……!」
感動していると、御霊府君が燈次郎の机に座り、紙を探しだした。
『ふん! 燈次郎の気を惹こうと、浅ましい真似を!』
そう言いながら御霊府君は紙に墨で燈次郎の似顔絵を描きだした。
【燈次郎へ いつも頑張っておるな】と誉め言葉も添えて。
そんな二人の優しさに燈次郎は胸が温かくなるのであった。



