月の導きで眼帯の陰陽師と結婚させられました

 あれ、そういえば蒼司の年齢って聞いたことなかったな。陰陽師として役職についてるし、見た目から年上なんだと思ってたけど。
 
「……そういえば、蒼司さんの年齢は?」
「二十歳だ」
 
 つまり少なく見積もっても、満十九歳。もしも生まれが十二月だったりしたら、満十八歳かもしれないってことか。
 ひいふうみと指折り数えて考えてた直後「ん?」と首を傾げた。──……え、年下?

 驚きのあまり、言葉が消えた。
 まじまじと蒼司の顔を見ていると、彼は少し頬を緩めて笑い出す。

「なるほどな。年上であれば、凛が私よりも思慮深くて当然だな」
「……もしかして、私のこと年下だと思ってた?」
「凛も、私を年上だと思っておっただろう?」

 お互い様だといわんばかりに苦笑した蒼司は、もう一度深く息を吸う。そうして、私の手を掴んで立ち上がると、笑ながら「年上には敵わん」といった。
 手を引かれ、立ち上がる。

「父上のところへ行こう」
「蒼司さん、それって……」
「あの者の弟をこちらに引き込むよう、策を練ろう」

 憎しみが滲んでいた表情は、どこかスッキリとしているように見えた。本当はまだ、心に引っかかる者があるだろうけど、私の気持ちを汲んでくれたのだろう。
 手を引かれ、木々に隠れた東屋を一歩踏み出した。

「蒼司さん……」

 大きな手を握りしめ、その広い背中に声をかける。
 足を止めた蒼司は「どうした」といって振り返った。

「ありがとう」
「……礼をいわれることなどしていない」
「そんなことないよ。私が頑張れるのは、蒼司さんが私のことをわかってくれるからだよ」

 少し驚いた顔が、瞬きを挟んで緩む。口角が上がって「そうか」とそっけない呟きをこぼす蒼司は、私の手を再び引いて歩き出す。

──大丈夫。きっと、なんとかなる。

 自分に言い聞かせてように呟くと、蒼司が「ああ」と頷いた。耳がいいんだからと思いながら、大きな手を握りしめた。