声が裏返りそうになった。でも、それを恥ずかしいとか思う余裕もなく、勢いよく蒼司を振り返ると穏やかに「はい」と頷かれた。
「巫女様には、私と結婚していただきます」
「は、い? 結婚……え、ええええっ!?」
耳に響く少し低い声にも鼓動が跳ねた。後になって思えば、こんな奇声ばかりあげる女と、蒼司はよく結婚したものだ。
でも、この時は混乱して体裁なんて気にする余裕がなかった。
目の前に現れた見ず知らずのイケメンと結婚っていわれてもね。お見合いだっていうならまだしも、なんか私のことを「巫女様」って崇めるような物言いをするこの人と、強制的に結婚って。どうしたら、そうなるのよ。
イケメンとラッキー──なんて、そう簡単な話じゃないわよ。
驚きすぎて言葉が出てこない。
唇を震わせていると、蒼司が私の手を優しく引いた。すると、一歩踏み出した足がひたりと音を立てた。御影石の冷たさが足裏に広がる。
直後、足元の御影石が不思議な銀の光を放った。なにが起きたのかわからず、ただ驚いていると、蒼司は静かに「足元をご覧ください」といった。
下を向くと、そこには輝く曼荼羅があった。そのすべての線から光が吹き上がっている。
「月の祝福にございます」
すぐ横、耳元で静かに響く声に、どくっと胸が高鳴った。声まで凄く綺麗だなんて──天は二物を与えずっていうのは、きっと嘘ね。
手を引かれて輝く曼荼羅から抜け出すと、銀の光はすうっと消えた。
「巫女様、参りましょう」
促す蒼司を見上げ、足を止める。
なにが起きているのかわからないし、急に結婚といわれても、納得なんてできない。ただ、どうやらここが異世界であることは疑いようがないようだ。
繋がれた手を握りしめると、眼帯に隠されていない蒼司の右目が少し見開かれた。
どのみち、私には行き場がないんだもの。ついていくしかないじゃない。
だけど、お願い女神様。どうか妖と戦うなんて世界線じゃありませんように。
それと……結婚って、どうしたらいいのよ。私、これでも恋愛結婚願望なんですけど。これじゃ、セカンドライフどころか恋愛すら楽しめないですよ。
連れてこられた東雲家の屋敷は、想像していた通りの武家屋敷だった。大名クラスと思われるお屋敷の縁側を歩きながら、月明かりに照らされる庭園を横目に見る。
「巫女様には、私と結婚していただきます」
「は、い? 結婚……え、ええええっ!?」
耳に響く少し低い声にも鼓動が跳ねた。後になって思えば、こんな奇声ばかりあげる女と、蒼司はよく結婚したものだ。
でも、この時は混乱して体裁なんて気にする余裕がなかった。
目の前に現れた見ず知らずのイケメンと結婚っていわれてもね。お見合いだっていうならまだしも、なんか私のことを「巫女様」って崇めるような物言いをするこの人と、強制的に結婚って。どうしたら、そうなるのよ。
イケメンとラッキー──なんて、そう簡単な話じゃないわよ。
驚きすぎて言葉が出てこない。
唇を震わせていると、蒼司が私の手を優しく引いた。すると、一歩踏み出した足がひたりと音を立てた。御影石の冷たさが足裏に広がる。
直後、足元の御影石が不思議な銀の光を放った。なにが起きたのかわからず、ただ驚いていると、蒼司は静かに「足元をご覧ください」といった。
下を向くと、そこには輝く曼荼羅があった。そのすべての線から光が吹き上がっている。
「月の祝福にございます」
すぐ横、耳元で静かに響く声に、どくっと胸が高鳴った。声まで凄く綺麗だなんて──天は二物を与えずっていうのは、きっと嘘ね。
手を引かれて輝く曼荼羅から抜け出すと、銀の光はすうっと消えた。
「巫女様、参りましょう」
促す蒼司を見上げ、足を止める。
なにが起きているのかわからないし、急に結婚といわれても、納得なんてできない。ただ、どうやらここが異世界であることは疑いようがないようだ。
繋がれた手を握りしめると、眼帯に隠されていない蒼司の右目が少し見開かれた。
どのみち、私には行き場がないんだもの。ついていくしかないじゃない。
だけど、お願い女神様。どうか妖と戦うなんて世界線じゃありませんように。
それと……結婚って、どうしたらいいのよ。私、これでも恋愛結婚願望なんですけど。これじゃ、セカンドライフどころか恋愛すら楽しめないですよ。
連れてこられた東雲家の屋敷は、想像していた通りの武家屋敷だった。大名クラスと思われるお屋敷の縁側を歩きながら、月明かりに照らされる庭園を横目に見る。

