万葉集……やっぱり、私の知っている日本とここは似ている世界みたいね。だったら、言葉にこめる感覚的なものは、理解しやすいかもしれない。少なくとも、中世ヨーロッパよりは近いはずだわ。
ふむふむと考えながら、やっぱり引っ掛かるのは、あの和歌を選んだ理由だ。
「和歌を選んだ人と『郭公』の文字を書いた術者の意図が違っていた可能性はないかな? 例えば、術者はホトトギスの入った和歌を使いたかっただけで、和歌を選んだ人は、なにか別のことを伝えたかったとしたら……」
「だとしても、凛を呪おうとしたことに代わりない」
私の手を握る指先に力が込められた。
「それはそうだけど……」
「凛、あの和歌を送り付けた者をどうしたいのだ?」
「どうって……訳を聞きたい。どうしてこんなことをしたのか、知りたい」
「知ってどうする?」
「どうするって……」
問われて戸惑った。
どうしたいかまでは考えていなかった。ただ、なにか違和感が残るから、それを知りたいと思っただけで。
「なにごとも争いには原因があるはずよ。それを取り除けたら、解決するかもしれないでしょ? だから話を聞いて──」
期待を込めて意見すると、蒼司が少しため息をついた。
「呪詛は命を奪うものだ。それを向けたことに理由があれば、許すというのか?」
「それは……」
「たとえどんな理由があろうと、私は許さぬ。凛を傷つける者は、何人たりとも」
そういわれてしまうと、なにも言い返せなくなった。
蒼司から見たら、私は危機感が足りないのかもしれない。まず話を聞きたいと思うのは、平和な現代日本で育ったからかな。
でも、呪われたいと思ってる訳じゃないし、敵がいるって思うと怖いよ。怖いけど……なにも訊かないのは違うような気がしてる。
そもそも、本当に命を奪うなら、もっと確実に手を下すものじゃないかな。
「私が邪魔だっていうなら、こんな警告文を出したりしないで、毒の一つや二つ盛ればいいと思うの」
「またそのようなことを……」
「だってそうでしょ。現に、呪いは私に届かなかったわけだし」
「東雲の屋敷に毒を持ち込むことが出来ぬから、呪詛を送り付けてきたのだろう」
「……そうなのかなぁ」
もやもやとしながら眉間にしわを寄せていると、手を握りしめていた蒼司は私を腕の中へと引き寄せた。
暗闇の中、温もりに肩が包まれる。
ふむふむと考えながら、やっぱり引っ掛かるのは、あの和歌を選んだ理由だ。
「和歌を選んだ人と『郭公』の文字を書いた術者の意図が違っていた可能性はないかな? 例えば、術者はホトトギスの入った和歌を使いたかっただけで、和歌を選んだ人は、なにか別のことを伝えたかったとしたら……」
「だとしても、凛を呪おうとしたことに代わりない」
私の手を握る指先に力が込められた。
「それはそうだけど……」
「凛、あの和歌を送り付けた者をどうしたいのだ?」
「どうって……訳を聞きたい。どうしてこんなことをしたのか、知りたい」
「知ってどうする?」
「どうするって……」
問われて戸惑った。
どうしたいかまでは考えていなかった。ただ、なにか違和感が残るから、それを知りたいと思っただけで。
「なにごとも争いには原因があるはずよ。それを取り除けたら、解決するかもしれないでしょ? だから話を聞いて──」
期待を込めて意見すると、蒼司が少しため息をついた。
「呪詛は命を奪うものだ。それを向けたことに理由があれば、許すというのか?」
「それは……」
「たとえどんな理由があろうと、私は許さぬ。凛を傷つける者は、何人たりとも」
そういわれてしまうと、なにも言い返せなくなった。
蒼司から見たら、私は危機感が足りないのかもしれない。まず話を聞きたいと思うのは、平和な現代日本で育ったからかな。
でも、呪われたいと思ってる訳じゃないし、敵がいるって思うと怖いよ。怖いけど……なにも訊かないのは違うような気がしてる。
そもそも、本当に命を奪うなら、もっと確実に手を下すものじゃないかな。
「私が邪魔だっていうなら、こんな警告文を出したりしないで、毒の一つや二つ盛ればいいと思うの」
「またそのようなことを……」
「だってそうでしょ。現に、呪いは私に届かなかったわけだし」
「東雲の屋敷に毒を持ち込むことが出来ぬから、呪詛を送り付けてきたのだろう」
「……そうなのかなぁ」
もやもやとしながら眉間にしわを寄せていると、手を握りしめていた蒼司は私を腕の中へと引き寄せた。
暗闇の中、温もりに肩が包まれる。

