そうか。東雲家としても、大切な娘を預けている大奥で毒騒動は気が気じゃなかったってことね。それは確かに、女神様にも縋りたくなるかもしれない。困った時の神頼みっていうし。
「桜の方様は、ご出産されてから体調の優れぬことが多ございますが、ここ最近は特に伏せることが増えております」
清方様は小さくため息をついた。義父も苦しそうな顔をして口を引き結ぶ。
「それって、毒の影響とか……?」
「その可能性も考えている。だが、毒が見つからぬことには──」
静かな声で教えてくれた蒼司の顔は、心なしか苦しそうだ。
これって、一刻も早く毒の隠し場所を探さないといけないってことよね。幸いにも、私は毒の耐性を持った強い身体があるんだし、適任ってことか。
「お姉さんのためにも、一刻も早く見つけたいってことね」
私の呟きを聞いた清方様は、額を畳にこすりつけるほど頭を下げた。
「危険を伴うことと存じております。ですが、月のご加護をお持ちの巫女様のお力を、どうぞ我らにおかしください」
清方様を見ながら、脳裏に女神様を思い浮かべていた。
なるほどね。男子禁制の大奥に起きた災いだもの、解決できるのは女だけってことか。──してやられたと思わざるを得ない。それならそうと、最初からいってほしいものだ。
膝の上で握った拳を見つめて深く息を吸う。
「表向きは、体調の優れぬ義姉上様をお慕いして見舞いに伺う。というのは可能でしょうか?」
静かに顔を上げた清方さんの瞳が見開かれ、光を浴びて輝いた。
「すぐに毒を見つけることは難しいと思いますが、何度か通って話を聞けば……口を滑らせる人も現れるかもしれません」
むしろ現れてくれ。なんなら、私を邪魔もの認定して、毒を盛ってくれればいいんだけど。
乗り掛かった舟というか、用意された舟なら乗るしかないじゃない。
「少し時間はかかりますが……それでよければ、犯人捜しのお手伝いをします」
「巫女様、お力添え感謝いたします」
清方様は目元をそっと押さえた。
この日、大奥のしきたりやら人間関係やらを教わることになり、東雲家へ戻ったのは夕暮れ前だった。
「桜の方様は、ご出産されてから体調の優れぬことが多ございますが、ここ最近は特に伏せることが増えております」
清方様は小さくため息をついた。義父も苦しそうな顔をして口を引き結ぶ。
「それって、毒の影響とか……?」
「その可能性も考えている。だが、毒が見つからぬことには──」
静かな声で教えてくれた蒼司の顔は、心なしか苦しそうだ。
これって、一刻も早く毒の隠し場所を探さないといけないってことよね。幸いにも、私は毒の耐性を持った強い身体があるんだし、適任ってことか。
「お姉さんのためにも、一刻も早く見つけたいってことね」
私の呟きを聞いた清方様は、額を畳にこすりつけるほど頭を下げた。
「危険を伴うことと存じております。ですが、月のご加護をお持ちの巫女様のお力を、どうぞ我らにおかしください」
清方様を見ながら、脳裏に女神様を思い浮かべていた。
なるほどね。男子禁制の大奥に起きた災いだもの、解決できるのは女だけってことか。──してやられたと思わざるを得ない。それならそうと、最初からいってほしいものだ。
膝の上で握った拳を見つめて深く息を吸う。
「表向きは、体調の優れぬ義姉上様をお慕いして見舞いに伺う。というのは可能でしょうか?」
静かに顔を上げた清方さんの瞳が見開かれ、光を浴びて輝いた。
「すぐに毒を見つけることは難しいと思いますが、何度か通って話を聞けば……口を滑らせる人も現れるかもしれません」
むしろ現れてくれ。なんなら、私を邪魔もの認定して、毒を盛ってくれればいいんだけど。
乗り掛かった舟というか、用意された舟なら乗るしかないじゃない。
「少し時間はかかりますが……それでよければ、犯人捜しのお手伝いをします」
「巫女様、お力添え感謝いたします」
清方様は目元をそっと押さえた。
この日、大奥のしきたりやら人間関係やらを教わることになり、東雲家へ戻ったのは夕暮れ前だった。

