呆れたような言葉だった。でも、不快に感じなかったのは、薄暗い中でも微笑みを浮かべた顔が見えたからかもしれない。
「凛……仮初めとはいえ、私たちは夫婦となる。だから、そなたの願いは私が叶える。なにも心配することはない」
大きな手が伸びてきて、布団から出ていた私の手を握る。
「私たちに、力を貸してくれるか?」
「……まずは話を聞くだけでもいいですか?」
「ああ、それでいい。それと、私に丁寧な言葉を使うなというなら、そなたももう少し緊張を解いてくれると嬉しいのだが」
まるで仕返すようにいわれ、思わずきょとんとしてしまった。
確かにそうなる。そうなるけど、会ったばかりの人と急に砕けて話すなんて──そうか、蒼司も同じ感じだったのかも。曲がりなりにも、私は巫女な訳だし。急にフレンドリーに話せといわれても困ったのね。
でも、蒼司は私のワガママに応えてくれた。
胸がじんわりと温かくなった。
重なる手が熱を持ち、思いが伝わってくるようだ。
さっき出会ったばかりなのに、こんな近くで私のことを真剣に考えてくれている。
手のぬくもりを意識してしまうと、言葉にできない不思議な感情が湧いてきた。
この人なら、信じてもいいのかもしれない。
「……わかり……わかった」
ぎこちない返事だけど、蒼司は満足そうに口角を上げた。
「それと、凛の世界では、好いた者と結婚するといっていたな」
「そうだけど……?」
私の手を握った指に、ほんの少しだけ力が込められる。
「であれば、凛が私を好いてくれれば問題はないということだな」
「え……?」
「凛、そなたに好いてもらえるよう、努力しよう」
突然の宣言に、頭が真っ白になった。
鼓動がほんの少し早くなり、握られた手がさらに熱を帯びる。
待ってちょうだい。距離があるのは嫌っていったし、信じていいかもと思いもしたわよ。だけど、恋愛対象として見るかは別問題よ。それはいくらなんでも距離のつめ方が早くないかな。
外から差し込む月明かりが、蒼司の微笑みを暗闇の中に浮かび上がらせている。
冗談だったのか、からかわれたのか。なんだか胸がざわつく。でも不思議と嫌な感じじゃないのは、繋がれた手のぬくもりのおかげなのか。
次第に瞼が重くなってきた。
もしかしたら今日のことは全部夢で、眠りについたら病院のベッドで目が覚めるんじゃないか。
少しの期待が脳裏をよぎる。そうして意識を手放そうとした時、ふわりと優しいなにかが額に触れた。そのぬくもりに意識を向けていると、まるで花のような香りに包まれた。
それがなにか確かめようにも、瞼は貼り付いてしまったようで、そのまま心地よい眠りに誘われた。
「凛……仮初めとはいえ、私たちは夫婦となる。だから、そなたの願いは私が叶える。なにも心配することはない」
大きな手が伸びてきて、布団から出ていた私の手を握る。
「私たちに、力を貸してくれるか?」
「……まずは話を聞くだけでもいいですか?」
「ああ、それでいい。それと、私に丁寧な言葉を使うなというなら、そなたももう少し緊張を解いてくれると嬉しいのだが」
まるで仕返すようにいわれ、思わずきょとんとしてしまった。
確かにそうなる。そうなるけど、会ったばかりの人と急に砕けて話すなんて──そうか、蒼司も同じ感じだったのかも。曲がりなりにも、私は巫女な訳だし。急にフレンドリーに話せといわれても困ったのね。
でも、蒼司は私のワガママに応えてくれた。
胸がじんわりと温かくなった。
重なる手が熱を持ち、思いが伝わってくるようだ。
さっき出会ったばかりなのに、こんな近くで私のことを真剣に考えてくれている。
手のぬくもりを意識してしまうと、言葉にできない不思議な感情が湧いてきた。
この人なら、信じてもいいのかもしれない。
「……わかり……わかった」
ぎこちない返事だけど、蒼司は満足そうに口角を上げた。
「それと、凛の世界では、好いた者と結婚するといっていたな」
「そうだけど……?」
私の手を握った指に、ほんの少しだけ力が込められる。
「であれば、凛が私を好いてくれれば問題はないということだな」
「え……?」
「凛、そなたに好いてもらえるよう、努力しよう」
突然の宣言に、頭が真っ白になった。
鼓動がほんの少し早くなり、握られた手がさらに熱を帯びる。
待ってちょうだい。距離があるのは嫌っていったし、信じていいかもと思いもしたわよ。だけど、恋愛対象として見るかは別問題よ。それはいくらなんでも距離のつめ方が早くないかな。
外から差し込む月明かりが、蒼司の微笑みを暗闇の中に浮かび上がらせている。
冗談だったのか、からかわれたのか。なんだか胸がざわつく。でも不思議と嫌な感じじゃないのは、繋がれた手のぬくもりのおかげなのか。
次第に瞼が重くなってきた。
もしかしたら今日のことは全部夢で、眠りについたら病院のベッドで目が覚めるんじゃないか。
少しの期待が脳裏をよぎる。そうして意識を手放そうとした時、ふわりと優しいなにかが額に触れた。そのぬくもりに意識を向けていると、まるで花のような香りに包まれた。
それがなにか確かめようにも、瞼は貼り付いてしまったようで、そのまま心地よい眠りに誘われた。

