気づけば、手の中の古いスマホが少し熱を持っていた。
画面は完全に真っ暗になっていて、そこに今の自分の顔がぼんやり映っている。
あれが、みずきとちゃんと話した最後だったのかもしれない。
告白したわけでもないし、何かが始まったわけでもない。
でも、たしかに何かは残った。
それは恋の続きをくれるものではなかったけれど、今の自分がどんなふうに人を見たいのか、その輪郭みたいなものは、たしかにあの頃にもらった気がした。
あの日々は、サビというほど派手じゃなかった。
それでも、今の自分を形づくるのに、なくてはならないBメロみたいな恋だった。
スマホを置いて、ベランダへの引き戸に手をかける。
鍵を外して押すと、戸はゆっくりと開いた。
裸足のままベランダに出る。
夜風にあたりながら、俺はゆっくりと息を吐いた。
「なんか、もう大丈夫かもな」
あの頃にもらった感覚が、灯台みたいに、今の自分のいる場所を静かに照らしている気がした。
秋の風が、やさしく身体をなでた。
画面は完全に真っ暗になっていて、そこに今の自分の顔がぼんやり映っている。
あれが、みずきとちゃんと話した最後だったのかもしれない。
告白したわけでもないし、何かが始まったわけでもない。
でも、たしかに何かは残った。
それは恋の続きをくれるものではなかったけれど、今の自分がどんなふうに人を見たいのか、その輪郭みたいなものは、たしかにあの頃にもらった気がした。
あの日々は、サビというほど派手じゃなかった。
それでも、今の自分を形づくるのに、なくてはならないBメロみたいな恋だった。
スマホを置いて、ベランダへの引き戸に手をかける。
鍵を外して押すと、戸はゆっくりと開いた。
裸足のままベランダに出る。
夜風にあたりながら、俺はゆっくりと息を吐いた。
「なんか、もう大丈夫かもな」
あの頃にもらった感覚が、灯台みたいに、今の自分のいる場所を静かに照らしている気がした。
秋の風が、やさしく身体をなでた。
