午前0時、きみだけが知っている

あまり発言しないけれど、相槌を打ちながら会話に参加していた。

来月、クラスの親睦を深めるための恒例行事である校外学習がある。

学校を中心に、市内ならどこに散策に行ってもいいという割と緩い感じのものだ。

男女混合の6人班で一日市内のどこかを散策して、レポート提出をする。


「この中の誰か一人は一緒がいいなー」

「そうだよねー」


グルチャで発言が多い、いわゆる『一軍女子』のグループではないので、目立つ一軍女子と一緒になるのを不安視しているようだった。

……私も一緒だけど。

そう思ったけれど、口には出さなかった。

別に、一軍女子と一緒になることが嫌なわけじゃない。

話しかけられれば普通に話すし、嫌われているわけでもない。

ただ、あの子たちの輪の中に入ると、どうしても少しだけ疲れる。

誰かの発言に合わせること。

その場の空気を読むこと。

間違ったことを言わないようにすること。

気付けば、いつもより少しだけ気を張っている自分がいる。

「奏は誰と一緒になりたい?」

向かい側でお弁当を食べながら、友だちが聞いてきた。


「え?」

「だって、六人班でしょ? 仲良い子いた方が楽じゃん」

「うーん……」


すぐに答えが出てこなかった。

もちろん、一緒になれたら嬉しい子はいる。

でも、絶対にこの子と一緒がいい、と言えるほど強く思える相手もいない。


「私は……誰でもいいかな」


そう答えると、友だちは少しだけ苦笑した。