午前0時、きみだけが知っている

午前0時。

ここなら、本当の自分でいられる気がした。
名前も、顔も、いらない場所で。

誰もいないはずの時間に、通知だけが光る。

画面の中では、いくつもの言葉が静かに流れていた。
誰に向けたものなのかもわからない、短い独り言ばかり。

それでも、どこかで誰かが見ている気がして、
少しだけ、息がしやすくなる。


『ねえ』


たった一言が、画面に残っていた。

それは、流れていくはずの言葉の中で、
なぜかそこに引っかかっているみたいに動かなかった。

既読はついていない。

なのに、
誰かに見つけられるのを待っているみたいだった。

私は指を止めたまま、その言葉を見つめる。

返す言葉なんて、思いつくはずもないのに。


それでも、画面を閉じることができなかった。